星空に願いを ★ 七夕のアレコレ
七夕は、じつは秋の祭事だと知っていましたか? 明治5年に新暦(太陽暦)に移行した後も、昔のまま7月7日に行なっていますが(仙台の七夕は旧暦にあわせて8月)、旧暦の7月は秋です。そして、いまも俳句では七夕は秋の季語になっています。新暦の7月7日になって困るのは、梅雨のド真ん中だということ。事実、東京の場合、1961年から昨年までの55年間に晴れたのは16日だけ、残念ながら晴天率は約29%の低さです。
そもそも七夕は、中国で農耕の時期を知るために広まった織姫と彦星などの「星伝説」、技巧や芸能の上達を願う「乞巧奠(きこうでん)」が日本に伝わり、それらが日本古来の神様に捧げる神聖な布を女性が織り上げる「棚機女(たなばたつめ)」と融合して出来上がったものです。「七夕」を「たなばた」と読むのは、そういう経緯があるからです。
竹飾りに願いを書いた短冊を吊るすのは、古来、竹の空洞には神が宿ると信じられ、今に至るまで神事には竹が使われてきたという理由があります。かぐや姫が竹の中から見つかったのも納得できますね。そして、「乞巧奠」や「棚機女」にちなむ祭事ですから、短冊には裁縫や技芸、芸事の上達を願う言葉を書くのが本来のあり方です。
さて、今年の七夕は晴れて、きれいな星空が広がるのでしょうか。織姫と彦星(二人は恋人同士ではなく夫婦なんですよ)は、年に一度の逢瀬ができるのでしょうか。多くの日本人は晴れを願いますが、お隣の韓国では七夕に雨が降ると、それは織姫と彦星が再会を喜んで流す嬉し涙だといわれています。だから晴れると日本では二人が逢えた、雨が降ると韓国では二人が逢えた、となります。晴れても降っても、二人は逢えるのですね。