JAPAN CUP観戦レポート1日目/日本人初のクリテリウム覇者が誕生!
開催日:10月17日(土)・18日(日)
大会名:2015 JAPAN CUP CYCLE ROAD RACE in UTSUNOMIYA
観戦レポート1日目(宇都宮支店 中野)
栃木県宇都宮市で開催されたサイクルロードレース「ジャパンカップ」を観戦しました。自転車レースだけではなく、露店が並び、そこかしこでイベントが行われるなど、街をあげてのお祭りさわぎとなりました。今回は、初日に開催されれた「クリテリウム」の模様をご紹介します。
©JAPANCUP UTSUNOMIYA
トップレベルの選手が集結
京都支店から宇都宮支店に転勤となり、はや半年。宇都宮は都会だと思っていたのですが、想像していたよりも田舎の香りがします。そんな宇都宮で、ビッグイベントであるジャパンカップが開催されました。
ジャパンカップといっても競馬ではなく自転車のレース、サイクルロードレースです。日本ではあまり大きく報道されませんが、ヨーロッパなどでは絶大な人気を誇ります。グランツールと呼ばれるツール・ド・フランスなどの世界三大レースで活躍する世界トップレベルの選手たちの本気の勝負が間近で見られる日本で唯一の大会です。また、1dayレースとしてはアジアで唯一、最上位カテゴリーのレースとなっています。
・ ジロ・デ・イタリア(Giro d’Italia)
・ ツール・ド・フランス(Le Tour de France)
・ブエルタ・ア・エスパーニャ(Vuelta a España)
国一周を3週間かけて走り抜ける過酷なレース。各大会、年一回開催されます。
初日は宇都宮市街地の交通を完全シャットアウトして行われる「ジャパンカップ・クリテリウム」。長い距離のコースで争われることが多いロードレースに対し、市街地や公園などに設定された短い距離の周回コースを走るレースです。今回は1周1.55㎞の直線的なコースで、180度ターンが2つある周回コースを20周します。
雨天でも街は大賑わい
朝から土砂降りの雨、開催を心配しつつも自宅を出発。最初の目的は、人気の自転車漫画『弱虫ペダル』の作者、渡辺航先生のサイン会。300名限定の抽選制で、数多くのファンが列をなしていました。抽選券をもらい結果は見事当選!無事、サコッシュ (レース中、補給ポイントなどでレーサーに渡す袋で、中に補給食や水筒などの補給物資が入っている)にサイン、握手もさせていただき、感激!緊張しすぎで何を話したかあまり覚えていません。
その後も雨が降り続ける中、レース開始まで周辺を散策。宇都宮最大の商店街・オリオン通りもいつもと違い、大勢の人で賑わっていました。
自転車メーカーが出展し、ロードレーサーの展示、関連用品の販売を行っており、自転車好きにはたまらない空間となっていました。
過去最高4万3千人の観客。地元選手が活躍。
腹ごしらえを終えた頃には雨も上がり、レース前には晴れ渡りました。会場へ向かったところ、あまりの人の多さに、レース会場があまり見えず…。やはり早くからの場所取りは重要なようです。
地元の高校生や女性競輪選手によるレースが終わると、宇都宮市の佐藤市長や渡辺航先生、出場各16チームの選手などが3周のパレード走行で会場を盛り上げたのち、ついにレースがスタートしました!
初めてプロのロードレースを観戦しましたが、その速さにびっくり。最高時速が80㎞を超えるともいわれるサイクルロードレース。間近で見るとまさに一瞬で通り過ぎていきます。 レ ースは5周毎にスプリントポイントが設定され、そのポイントを一番早く通過した選手は優勝者とともに表彰されます。
最初のスプリントポイントを獲得したのは、世界の各チームを抑え、地元・宇都宮ブリッツェンの鈴木選手。会場も地元選手のポイント奪取に大盛り上がり!続く10週目のスプリントポイントに向け、集団から7人の逃げ集団が形成されました。
サイクルロードレースは集団から先行する何人かの逃げ集団と、後方からレースをコントロールする大集団(プロトン)に分かれることが多いです。プロトンの人数が多いほど後方の選手は空気抵抗が少なく、楽にペダルを回すことができ疲労の蓄積が少なくなります。また、風の抵抗を受ける前方の選手も順番に交代することができ、早い速度を維持できます。つまり、プロトンはその気になればいつでも速度を上げて追いつくことができるため、先する逃げ集団を容認している状況となります。
なぜわざわざ少ない人数で先行する集団が現れるかというと、いくつか理由があります。
- レース中にスプリントポイントのようなポイントが設定されており、そのポイントを一番早く通過しポイントを獲得するため。
- 逃げ集団はテレビに多く映るため、 チームスポンサーのPRとなる。
- プロトンは各チームの選手が様々な思惑で走っています。そのため、意思統一がうまくされず、速度が上がらないことがあり、そのまま逃げ集団が逃げ切る可能性がある。
以上が主な理由となります。逃げ集団を形成するにはアタック(速度を上げて集団から抜け出すこと)を決める必要がありますが、各チームの思惑があるため、すぐプロトンが追いかけて吸収し、なかなかアタックが決まらないこともあります。
普通に勝負しても勝ち切ることが難しい選手は、アタックして逃げ集団の形成を狙ったり、アタックした他の選手についていき、うまく逃げ集団に参加することができれば、わずかに可能性のある勝利へのキップを手にすることができるといえます。
日本人初のクリテリウム覇者が誕生
逃げる選手=弱い選手ではありません。逃げ集団は人数が少なく風の影響を大きく受け疲労が蓄積するなか、プロトンの追走を振り切り勝利を目指す勇敢な選手です。
10週目のスプリントポイントは逃げ集団から見事スプリントを制し、宇都宮ブリッツェンの城田選手が獲得!地元チームが連続でポイント獲得し、会場も大きく湧きました。
続く15週目のスプリントポイントは同じく逃げ集団の中からブリヂストンアンカーの初山選手が獲得!まさかの日本人選手の3連続獲得となりました。
その後、ゴールに向け逃げ集団は必死に逃げ切りを図りましたが、ゴールまで3週を残しプロトンに吸収されました。各チームがゴールへの最終スプリントに向け位置取り合戦が始まります。最終スプリントが集団となった場合、前方に位置していないと前に行くことが難しくなります。各チームが今日はこの選手で勝利を狙うと決めたエースを守りつつ勝負しやすくなるよう隊列(トレインと呼ばれる)を組み、良い位置を確保しようとするため、自然と速度が上がります。
最終コーナーを抜け、各チームのエースが一斉にスプリント開始。チームスカイのスウィフト選手が一足早くスプリントを仕掛け先行したものの、ゴール直前で伸び切らず失速。その横をトレックファクトリーレーシングの別府史之選手が一気に抜け出し、先頭でゴール会場のロードレースファンから歓喜の声が沸き上がりました。クリテリウムは2010年から開催されていますが、初めての日本人優勝となりました。
レース観戦を終え表彰式に参加し、白熱した初日を終えました。(つづく)
(宇都宮支店 中野)
1位:別府 史之(日) 42分29秒
2位:ベン・スウィフト(英)
3位:スティール・ヴォンホフ(豪)
ポイント賞
5周目/鈴木譲、10周目/城田大和、15周目/初山翔
地元・宇都宮の選手が活躍!