チャレンジ製品CFRP蝶番の製作工程を見学してきました

CFRP協力工場前にて

協力工場:株式会社エーシーエム 様

オーブンによる真空バギング成形について勉強してきました。近年タキゲンではチャレンジ製品としてCFRPの蝶番や平面ハンドル等を研究開発しています。

高強度で設計自由度の高いCFRPの特性

CFRPの特性として、軽くて強度が高いことが知られていますが、それだけでは無く、弾性率も自由に設計することができます。

そのため、CFRPの製品は材料と構造の両方を設計しなければなりません。カーボンの繊維といっても様々な繊維があり、引張強度に特化した繊維、弾性率の高い繊維があります。この繊維の組合せの中から、用途に合せた材質特性を持つCFRPを(材料)設計することができます。また、構造設計においては、繊維を重ねる角度によっても強度が変わってきます。同じく用途に合った繊維方向を設計します。そのため、設計の自由度が高く、用途に合った強度を持たせることが可能になります。

高強度で設計自由度の高いCFRPの特性

剛性では中央ではなく、1/3の長さから曲がるように設計することも可能です。

代表的なプリプレグの種類
代表的なプリプレグの種類-01

一方向のみの繊維がシート状になったもの。90度、45度等、角度を変えて積層していくことで、強度と剛性を設計することが可能になる。

代表的なプリプレグの種類-02

縦糸と横糸が交差しているタイプ。一般的に認識されているCFRPの模様はこのタイプ。

CFRPのすごいところ!
CFRPのすごいところ!-01

長さ5mの照明用の梁が片持ちなのに自重でたわまない。

CFRPのすごいところ!-02

厚さ0.5㎜、長さ3m、脚は両サイドのみで大人が5人座っても大丈夫。

CFRP蝶番の作り方
オーブンによる真空バギング成形

1)シート上のプリプレグを型に合せてカットしながら積層。1枚のシートは0.25mmのため、8枚重ねることで2mmの厚さを作り出します。簡単に見えますが熟練するまで3年は必要。ちなみに蝶番4枚分で一時間かかります。

炉で硬化2)型で固定し、耐熱フィルムで完全に真空状態にして炉で硬化させます。

マシニングでカット3)マシニングでカットします。加工には油が使えないため、刃の摩耗が激しいです。

軸をエポキシで接着4)軸をエポキシで接着して完成です。

職人の高い技術が生み出す高機能製品

CFRPの蝶番が完成するまでの一連の流れを見学させていただき、見た目はシンプルな蝶番でも、一枚のプリプレグから製品にする難しさを学びました。

また、タキゲン製品をつくる現場を初めて見て、成形、成形品への加工(バリのカット、穴加工、ピンの接着)など、設計通りにモノづくりをすることができる職人の技術の高さが、製品の品質を支えていることを、身をもって感じました。

カーボンの特性として、軽い、強い、非着磁性、熱膨張しない、成形の剛性のコントロールが可能なことがあげられます。職人が1つずつ手作業で作業するため大量生産には向いていませんが、小ロットでの製作が可能になります。金属では実現できない製品づくりもタキゲンなら実現できます。

チャレンジしてみたいCFRP製品がありましたら、ぜひタキゲンにご相談ください。

(情報開発部 吉村)