ベジタブルマラソン「新入社員 ヒロキが走った」in彩湖

ベジタブルマラソン水門

新入社員を巻き込んで

入社一年目のヒロキ5月31日 朝8時30分。異常な暑さと予報されていた埼玉県戸田市の彩湖は30度をゆうに超えていただろう。そんな中、号砲と共に彼は走りだした!

「ベジタブルマラソンin彩湖」のスタートを切ったのは、浦和支店配属の新入社員、「ヒロキ」こと「林田 洸樹」である。ことの発端は、さかのぼること2カ月前、入寮歓迎会でのことだ。

「初めまして」と緊張した面持ちで挨拶する彼に、「よう!宝山」と呼びかけた。ヒロキは「はい?」と長崎訛りで訝しげに応えた。

男子は4人連続九州からの新入社員とインプット済みであった。いつから始めたか忘れたが、私は入寮する新人を想像し、アダ名を勝手に考えるのが恒例となっていた。今回は「宝山」だった。確かそんな名前の焼酎を飲んでいる時につけた気がする。しかし、いつものごとく、そんなアダ名は受け入れられない。本人の要望通り「ヒロキ」と呼ぶことになった。

歓迎会も盛り上がり、気分も良くなったヒロキに、さりげなく「ベジタブル走るよな?」と促す。すると、何もわからない彼は素晴らしい返事で「ハイ!」と答えた。彼が走ることになった瞬間である。

支店長も密かにエントリーしていた

支店長も密かにエントリーしていた

思い起こせば、ナガチョこと永石光信の東京マラソンネタを投稿したのは2009年。マラソンブームが始まった頃だ。現在、ランナー(?)になった私は、出会う若者に片端から「走ろうか?」と声をかける面倒なオヤジと言われている。

今大会は、私の誘いにのった若者や仲間たち、さらに冗談で誘った支店長までもが密かにエントリーし、総勢10名という大所帯での参加となった。

大会に向けて

ヒロキは、多少スポーツをやっていたらしいし、若いから体力的な問題は心配していなかった。しかし、最初の練習では、たった5㎞で息切れして走りきれず途中で歩いてしまうほどだった。

「僕、大丈夫ですかね?」と独特のイントネーションで素朴に聞いてくるが、「知るか!」と言いたいところを「どうだろう?」と笑い返す。私も丸くなったものだ。

ふと、彼の足もとを見ると、重たい野球の練習用シューズを履いていた。なぜそんな靴を持っているのか不思議だったが、本人が走りやすいのなら、と気に留めなかった。しかし、見かねた先輩ランナーのナガチョが、ランニングシューズを贈呈した。「ナイス、ナガチョ!」私は心の中で叫んだ。

やさしいナガチョ、靴をプレゼント

やさしいナガチョ、靴をプレゼント

数日後、汗だくのヒロキと階段ですれ違った。聞くと、驚くことに、平日も走っているうえ、なんと週末には10㎞を目指し距離を延ばしているというではないか!

そんなある日、「10㎞ってどこまでですかね?」と聞かれ「美女木」と応えた。九州から来て間もない彼に、地名が分かるわけない…なのに、納得したような彼は「なんだか走るのが楽しくなってきました!」と言って、走り去った。美女木とは違う方向に。

1カ月ほど経った頃には、彼の顔はスッキリし、お腹も凹んだようにみえる。「こいつ、俺より速くなっているのではないだろうか…」と内心恐れを抱いた。

この大会では、初めてマラソン大会に参加するメンバーが半数を占めた。よって最初の5㎞を全員で楽しく並走してのファンラン、残り5㎞は、それぞれのペースで記録を目指そうと決めた。さらに、我々の仲間は、毎回アフロの被り物をして走っているのだが、初参加の皆にも便乗してもらった。

スタート地点 アフロがひときわ目立つ

スタート地点 アフロがひときわ目立つ

このアフロ、意外にも好評なのだ。マラソンの応援を経験した方なら分かるだろうが、集団から目当てのランナーを見つけ出すのはなかなか難しいのである。このアフロのおかげで、応援者は多数のランナーの中から、我々をすぐに発見することができる。さらに嬉しいことに、知らないギャラリーまでも「アフロ頑張れ!」と応援してくれるのだ。応援のありがたみを感じた我々は、ウルトラマラソンも、これを被ったおかげで完走することができた。

欠点は、ご想像の通り暑い!冬ならともかく、ヒロキや他の仲間は初めての大会で、このハンデは苦しかったことであろう。何しろ、熱中症でフラフラ倒れるランナーを目の前で見たのだから…。

大会を終えて

達成感の一枚!

達成感の一枚!

結果は、ヒロキをはじめ、全員無事10㎞を完走できた。ゴールで笑顔を見せてテープを切る姿に、みんなでハイタッチし「ナイスラン!」の声をかける。それぞれの練習の成果が出た瞬間だ。しかし、ゴールの喜びも束の間、休む間もなく記念写真を撮って参加賞の野菜をもらう。そこまでがベジタブルマラソンである。

そして、最後にゴールした支店長が座る間もなく、メインイベントのBBQ大会の始まり!

焼き担当はヒロキ。焼鳥屋で4年間バイトした技を存分に披露し、皆さんに喜んでもらった。これからの浦和支店のイベントに欠かせない存在となったのは言うまでもない。
彼がまた一緒に走ってくれるかは分からないが、今はただひたすら仕事を覚えるために、日々突っ走っているヒロキであった。

(浦和支店 水門)