ケーブルを束ねて、ベッドや壁に固定することで、医療現場における衛生面と安全性が向上 「ケーブルキャッチマグネット」

担当者:仙台支店 高田

ケーブル類の感染対策や転倒防止などの安全面が課題


ー 病室のケーブルを束ねる「ケーブルキャッチマグネット」が誕生した背景には、どんな要望があったのでしょうか?

kaihatu-04高田 医療関連製品の営業活動をしていて、病室で使われている電源ケーブルの状態について臨床工学技士の方から相談をいただきました。
病室では複数の医療機器が設置されていて、多くの電源ケーブルが床上を這っています。ケーブル類が床を這うという状況は、感染対策や転倒防止などの安全面で問題視され、「ケーブルが床に接触しないよう改善したい」というご要望をいただいたのが最初でした。

ケーブルが床に接触して汚染されてしまうと、患者様をはじめ、院内の関係者の方々にも接触し、病原菌の感染につながる可能性があります。特に重症の患者様は、ベッドからたくさんのケーブル類が延びた環境に置かれています。現在、この病院では感染対策に注力されていると伺っており、少しでも現場の環境を良くしたいというお気持ちがあったようです。

そこで、ケーブルを清潔に、整理整頓したうえでご使用いただくことで、衛生的で安全な環境のお役に立てればと考えました。

ー ケーブルを束ねる場合に、病室で欠かせない条件はあったのでしょうか?

高田 お打合せを進める中で、医療現場の環境から生まれた、さらに具体的なご要望もいただきました。主なポイントは、次の6点です。

  1. 5本くらいのケーブルを束ねて持ち上げるようにしたい。
  2. アルコール・次亜塩素酸ナトリウムでの消毒ができる。
  3. 高温蒸気(オートクレーブ処理)での消毒は想定していない。
  4. ゴミが入らないよう、表面の凹凸や隙間は極力なくす。
  5. 人が触ってもケガをしないよう、丸みを帯びたデザインにする。
  6. 見た目に優しく、汚れが目立つ淡い色がいい。

以上のようなご要望をもとに、開発をスタートさせました。

マグネットが解決の糸口に


ー 結束バンドで留めることが思いつきますが、マグネットで固定する発想は、いつ生まれたのですか?

高田 当社では従来から、マグネットを使用した製品をお届けしていましたので、「マグネットが解決の糸口になるのでは」とすぐに思いつきました。幸い、病室のベッドはほとんどが鉄製のためマグネットが使用でき、5本のケーブルの重量にも対応できる耐荷重に設計しました。看護師の皆さんもよく使われるため、多忙な業務の中で手間をかけずに使用できる製品を目指し、マグネットと面ファスナーを組合せて進める方針は早い段階で決めました。

私は医工連携の製品を立ち上げた経験がなく、全てが初めての経験でした。病院ならではのご要望に対応できるよう、目の前の課題を一つずつクリアしていきましたが、自分のアイデアが製品になる楽しみも感じました。

消毒についても配慮が必要に


ー 材料をポリプロピレン樹脂にした点にも、病院業務に対する配慮があったのでしょうか?

高田 消毒用に使われていたペーパータオルの容器がPP(ポリプロピレン)だったので参考になりました。また、病院では消毒で使用されるアルコールや次亜塩素酸ナトリウムが使用されます。消毒の必要性については感染対策で重要視されていましたので、十分に配慮しました。

ー マグネットをゴムでカバーしたのは、どんな理由があるのでしょうか?

高田 最初は、ベッドの裏面にマグネットで取付けて、ぶら下げる形での運用を想定していました。開発過程で、壁面でも使用したいとご意見をいただき、滑り止めが必要になったのです。そこで滑り止め=ゴム、というストレートな発想で裏面にゴムを取付けました。当初、接着がスムーズにできず、ねじ込む方法を用いて固定しました。素材として屋外でも使用できるEPDM(エチレンプロピレンゴム)を採用したのは、先ほど述べたのと同じく耐薬品性とコストのバランスが理由です。

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ー 消毒を前提とした開発上の工夫は、他にどんな点が挙げられますか?

高田 病院では、機器を消毒液に沈めて処理をする浸漬消毒が行われていると伺いました。消毒液に沈めた際、内部に液体が浸入するとマグネットが腐食します。そこで、内部に液体が浸入しないよう、防水性を高めるために密閉構造にしました。この過程で吸着面の滑り止めゴムとパッキンを兼用できるように設計することで、コストと性能を両立することができました。病院の担当者様から、購入にあたっての予算金額を伝えられていましたので、コスト削減が最後の壁でしたが、構造面で無駄を排除できたので実現にこぎつけることができました。

ー 丸みのあるデザインやカラーについても、開発の経緯を訊かせてください。

高田 看護業務に際し、素手でも負担なく安全に処置できるように、やわらかなフォルムをコンセプトにデザイン作業を進めました。同時に、表面の凹凸や隙間をなくすというご要望にもできる限り応えるように努めました。

カラーも、一般的には汚れが目立ちにくい色が好まれますが、病院では反対に汚れが目立つ方が衛生面で良いということも教えていただきました。今回の製品も、淡い色合いのアイボリーにしましたが、汚れを目立たせることが目的です。数パターンのデザインとカラーを最初にご提案し、選択いただいたうえで修正を加えながら決定しました。

病院でご好評いただいています!


ー 医療の現場から、どんな反響が返ってきていますか?

高田 現場でご使用いただいている場面は直接確認できていないのですが、病院内で好評のため、購入を検討中というお話は多くの病院でいただいています。予算設定などの理由で、購入までに時間がかかる傾向があるようですが、リリースから間もない製品なので、今後の拡販を目標に積極的な営業活動を続けています。

医療現場で予想外の使い方として入手した情報では、消毒液のスプレーに取付けて壁に固定するホルダー代わりに使われている例があるようです。また、金属の加工工場では、手にはめてカットした金属プレートを、ベースの板材から外すために利用されていると聞きました。EPDMゴムのおかげで傷もつかないし、いずれも面白い使い方で、アイデア次第で様々な用途にご使用いただけるのではないかと感じています。

将来的に、患者様の状況によって使い分けたいというご意向も伺っており、「重症患者」「感染症患者」「その他」などで区別できるよう検討しています。

ー 日頃から営業活動をされる中で、心がけていることがあれば教えてください。

高田 分からないことは素直に聞くことを心がけています。

例えば今回は病院で使う製品でしたが、私は病院内のルールなど全く知りませんでした。そこで、使用する消毒液や病院として気を付けるべき基本事項、希望の色や形など性能に関わる内容をすべて質問しました。また、理由が分からない部分は理由を聞いて理解を深めました。このように教えていただいた内容に対して、こちらからできる提案を考え、より理想の製品に近づけられるよう心がけています。

勉強不足と言われればそれまでですが、机上で考えるより、その道のプロと言える実際に使用される方のご意見が参考になります。

「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」ということわざがありますが、分からないまま進めるより、物事を理解して進めることが大切だと考えて製品開発に臨んでいます。

製品情報

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[C-937]ケーブルキャッチマグネット

ケーブルを束ねて、ベッドや壁に固定することで、医療現場における衛生面と安全性が向上

複数のケーブルを束ね、鉄製のベッドや壁に固定できます。
本体は薬品に強いポリプロピレン樹脂で、アルコール消毒ができます。
浸漬消毒も可能な密閉構造です。
吸着面のマグネットはゴムでカバーされています。壁面でも滑りにくい仕様です。
丸みを帯びたデザインで、素手で触れても安心です。
臨床工学技士様のご要望により、開発されました。


仕様
材質:本体/ポリプロピレン(PP) マグネット/ネオジム 裏面/エチレンプロピレンゴム(EPDM)
吸着力:天井面/30N以上 側面/10N以上
付属品:面ファスナー 300mm
用途
病院・工場・オフィス
備考
薬品によっては製品に影響を与える可能性があります。

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