情報の面白さを、ちょっと視点を変えて眺めてみると今までと違った側面が見えてきて、時にはビジネスにも役立つ発想がわいてきたりするものです。

フェイクニュースにご用心! 〜膨大な情報が氾濫するSNS時代が生んだ罠〜

国内だけで年間にDVD2.9億枚に相当する情報が流れている

arekore_079iもしアメリカに流行語大賞があれば、今年の大賞候補は「フェイクニュース」ではないでしょうか。フェイクニュースとは本来、事実ではない情報を政治的な目的、あるいは広告収入などを狙って意図的に流すことを指します。

しかし、現代はSNS時代で、誰でも容易に自分の意見を発表し、情報を発信することができます。そこには明らかな捏造もあれば、意図的な誹謗中傷もあります。また、そこまで悪質ではなくても、軽い事実誤認や誤解も多く、どの情報が真実で、どれがフェイクニュースなのかを判別するのは容易ではありません。

昨年のアメリカ大統領選挙の期間中には、TVのキャスターが広告料目的で発信されたフェイクニュースを真実だと思い込み、番組で報道する誤報までありました。報道のプロでさえそうなのですから、一般人が情報を鵜呑みにするのは無理からぬことです。

総務省の発表する「情報流通インデックス」(旧・情報流通センサス)によれば、平成21年度に国内で流通した情報の量は約7.6ゼタビットです。ゼタとは「10垓倍」(10の21乗)を示す補助単位……と説明しても理解困難でしょうから違う表現で言えば、一日あたりDVD2.9億枚に相当する情報が365日流れた、それが年間7.6ゼタビットです。

平成13〜16年あたりは情報量の伸び率は横ばいでしたが、SNS時代を迎えて以後は急速に増えはじめ、平成8年と比較して平成18年には情報量が543倍になったとも総務省は指摘しています。誰かが様々な目的でフェイクニュースを流し、それに興味を持った多くの人がFacebookやTwitter、LINEでシェアすることで世界中へ拡散していくのです。

安易にシェアしてフェイクニュースを拡散させない

フェイクニュースは、いまに始まったことではありません。歴史は常に勝者によって記録されますから、勝者に都合の悪いことは削除されます。そこまで大袈裟でなくても、例えばUFOとか怪奇現象、心霊写真などの分野では、昔から捏造がたくさんあります。つまり、情報には嘘が混じるのが普通です。しかし、いまは情報量が膨大で、その中の一つの誤情報が時には世界的に影響力を発揮する、だからフェイクニュースが問題になるのです。

だったらフェイクニュースを罰するようにすればいい、という意見もあるでしょう。実際、そういう動きもあります。しかし、意図的な捏造か、あるいは真実を伝えようとしての誤報か、それを区別するのは時に困難です。間違った情報をすべて罰するとなると、新聞やテレビなどの誤報も処罰の対象となり、それは報道機関を萎縮させ、悪い結果にもなるでしょう。ただドイツでは、昨年のアメリカ大統領選挙中のフェイクニュースの影響を考慮し、悪質な情報発信に罰金を課す法律の制定なども検討されています。

まず情報の読み方に注意をしましょう。変だなと思う記事は、「裏をとる」のが大事です。誰かが何かをしたという情報なら、その誰かのホームページやブログ、Twitterなどをチェックしてみる。他のメディアでも紹介されているか調べる。裏がとれない情報なら、真偽の判断を保留しておくというのも騙されないためには大切です。またメディアには、個々に「クセ」がありますから、新聞なども普段から読み比べるのも必要でしょう。

一番重要なことは、ちょっと面白いからと真偽の曖昧な情報を安易にシェアしないことです。もしシェアすれば、あなたもフェイクニュースの拡散者になる……かも。