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女性の社会進出を促す欧米 いま世界が目指す社会のあり方とは
EU諸国が大企業の女性役員を30%以上にする法案を可決
元ファーストレディであり元国務長官でもあるヒラリー・クリントン氏が正式に大統領選への出馬を表明し、さあ、いよいよアメリカに初の女性大統領が誕生するかと大きな話題になっています。
50年前のアメリカでは女性や黒人が大統領になる可能性はまずありませんでした。しかし、21世紀を迎える頃には、先に誕生するのは女性大統領か黒人大統領かという議論もよく聞かれるようになり、その後の経緯は誰もが知ってのとおりです。アメリカは、一度変革が始まると実にダイナミックに変わる国だと痛感させられます。
アメリカだけでなく、ヨーロッパでも女性の社会進出を後押しするエネルギーは強力です。ドイツでは3月に、大企業の女性役員比率を30%以上にすることを義務づける法案が連邦議会で可決されました。こうした動きは、決して珍しいものではありません。
すでにノルウェーでは2003年に、上場企業の取締役会メンバーの40%以上を女性にするよう法律で義務づけているし、フランスでも2011年に同様の法案が可決されています。スペインやイタリアにも似た法律があり、イギリスでも企業の中枢へ女性を進出させようという勢いは活発です。むしろ、こうしたヨーロッパの積極的な姿勢がアメリカを刺激し、連邦準備制度(FRB)に初の女性議長 (ジャネット・イエレン氏)を誕生させ、多くの企業の幹部に女性を登用させていると見るべきなのでしょう。
どの国も初めから人権や男女の公平性に意識的であったわけではありません。また、それぞれの国に歴史的背景があり、事情があります。しかし、歴史や事情を超えてどういう社会をつくろうとしているのか、欧米の動きからはそれを読むべきです。
男女の社会進出公平性で中国87位、日本104位、韓国117位
社会進出でどれほど男女が公平か、あるいは格差があるか、それを国別に示す「ジェンダー・ギャップ指数ランキング」というものがあります。世界経済フォーラムが毎年発表しているもので、上位の国ほど男女の格差が少ないと判断されています。
2014年のランキングでは、1位は6年連続でアイスランド。2位から5位をフィンランド、ノルウェー、スウェーデン、デンマークと北欧の国々が占めています。アジア勢ではフィリピンの9位がトップで、主要国は中国87位、日本104位、韓国117位と低迷しています。アジア社会は男女の公平性で遅れていると批判されるのも仕方ない数字です。
日本政府が、国や地方自治体の議員に占める女性の数を増やすよう、また大手企業に女性役員を一人は誕生させるよう要請しているのは、こうした背景があるからです。欧米の国々もそうであったように、自然に任せておいて達成できるものではありません。
OECD(経済協力開発機構)のデータでは、日本の上場企業役員に占める女性の数は3.9%(アメリカ12%、フランス18%)です。管理職全体でも女性の割合が10%未満の会社が80%以上で、ゼロという会社も半分以上あります。政府の要請をうけて2020年までには半分以上の大手企業で最低一人は女性役員が誕生しそうですが、ヨーロッパやアメリカの流れに比べると緩やかであることは否めません。もちろん、それなりの事情はありますが。
女性枠をつくり、数を増やすことに異論も多くあります。また、ヨーロッパの例にも問題は多々指摘されています。しかし、最初から最後まで100%だった変革などありません。多くの問題を乗り越えながら、どういう社会を目指すのか。大切なのは、そこです。
祖神も国王も女性だった
歴史的に日本は女性リーダー先進国
古代の日本が女系社会だったことは定説で、皇室の祖神であり日本民族の総氏神とされる天照大神は古来、女神といわれている。また天皇制は現在まで125代続いているが、過去には8人10代の女性天皇が存在し、そのうち6人8代までが奈良時代までの在位。そして、邪馬台国を統治した卑弥呼もまた女王だった。