情報の面白さを、ちょっと視点を変えて眺めてみると今までと違った側面が見えてきて、時にはビジネスにも役立つ発想がわいてきたりするものです。
会議は“スタンディング”の時代へ? 〜立ったまま、短時間で、それが集中力と効率を高める〜
会議の40%以上が「無駄」で「長い」、しかも「内職」が40%以上
「スタンディング会議」あるいは「スタンディング・ミーティング」を知っていますか。文字どおり立ったままで会議やミーティングをすることで、アメリカでは多くの企業がかなり前から取り入れており、立ったまま仕事をする企業も珍しくないようです。日本でもIT系の企業を中心に、10年ほど前から「立ち会議」を実践する企業が増えてきました。
会議は必要ですが、時として会議のための会議、上司のための会議になることもあります。2012年にNTTデータ経営研究所がまとめた「『会議の革新とワークスタイル』に関する調査」によると、業務全体に占める会議の割合は平均で15.4%でした。つまり仕事時間の7分の1が会議で、単純計算なら一年のうち2ヶ月は会議をしていることになります。
しかも、「無駄な会議」(45.0%)、「時間が長い」(44.1%)という意見が多く、「結論が持ち越される」(21.5%)、「コミュニケーションが活性化しない」(20.9%)となると、とても会社の価値創造に寄与する会議とはいえません。おまけに会議に参加しながら「内職」をしているメンバーが41.7%もいるのです。
会議室を予約し、資料を作成し、参加メンバーのスケジュールを調整して……ではなく、必要な時に、必要なメンバーがオフィスの一隅にサッとあつまり、ホワイトボードにポイントを書きながら10〜15分程度で結論を出して解散する。全体会議ではなく部署ごとのミーティングに効果的なのが「スタンディング会議」です。立ったまま、少人数、短時間、しかもこの場で結論を出すとなれば、参加者は集中力を切らすことなく議論するので、非常に生産性のあるミーティングになるのです。
こまめに立ち、歩いて「座りっぱなし症候群」も解消
立ったままの会議、ミーティングは、「座りっぱなし症候群」の解消にも効果があります。最近は職種を問わず、デスクに座ってパソコンに向かうのが普通です。その結果、2時間以上も連続して座っている。トータルで一日5時間以上も座っている。時には昼ごはんもデスクで食べる。これらは決して珍しいことではなくなりました。
長時間座りつづけることで腰痛になる、肩が凝る、足がむくむ、疲れやすいなどの体調不良を経験した人は多いはずです。「座りっぱなし症候群」とは、要するに「エコノミー症候群」と同じことですから、飛行機の中で通路を歩くように、仕事中でもこまめに立ったり、歩いたりして解消する必要があります。立ったままの会議やミーティングには、仕事の活性化だけでなく、これら座りっぱなしの害を解消する効果もあるのです。
会議にも、さまざまな種類、目的があります。そのすべてを「立ったまま、15分で」には無理があります。会社の長期的な方向性を議論する、新しいプロジェクトを立ち上げる際に全部署の主要なメンバーでブレスト的な総合会議を開く、これらなら時間も資料も必要ですし、座ってじっくりと話し合うべきでしょう。
ただ「『会議の革新とワークスタイル』に関する調査」が示唆するような問題点が社内の会議に散見され、もっとスピーディで生産性のある会議が必要だと考えるなら、立ったまま短時間で結論を出していく会議を導入するのも有効なことでしょう。
「働き方改革」として残業を減らし、有給休暇を消化させる。それも大切ですが、惰性に流れている部分に刺激と活力を与えるのは、もっと重要なポイントのはずです。
あのジョブズも実践した
大事な話し合いは歩きながら
歩きながら考えてグッドアイデアが浮かんだ経験は誰にもあるはず。体を動かすことで血流が良くなり、脳が活性化されるためだという。アップル創業者の一人、故スティーブ・ジョブズも大事な話し合いをする時は、いつも相手を散歩に誘って歩きながら語り合っていたことが自伝で紹介されている。