情報の面白さを、ちょっと視点を変えて眺めてみると今までと違った側面が見えてきて、時にはビジネスにも役立つ発想がわいてきたりするものです。
美しきもの、汝の名は男なり!? スキンケアは当たり前、男だってメイクで決める時代です。
エステでも化粧品でも伸び率では男性が女性を上回る
周りにいる男性が、この頃ちょっとキレイになってきた、と思うことはありませんか。もしかすると、それは気のせいではなく、彼らが使っている化粧品の効果かもしれません。男性が化粧をするのは歌舞伎役者や舞台俳優、あるいはヴィジュアル系のタレントぐらいだろうと思うのは時代遅れの発想です。最近は、ごく普通の男性でもさまざまな化粧品を使う時代になってきました。もちろん、メイク用化粧品も例外ではありません。
国内の化粧品市場は、女性用と男性用を合わせて約2兆3000億円(2014年)。まだまだ数では女性用が圧倒的ですが、男性用もヘアケア、ボディケア、洗顔料など合わせて1000億円を超す規模になっています。フェイスケアに限ってもすでに200億円を突破しており、若い世代はもちろんミドル世代もアンチエイジングのスキンケア用品を使うぐらい普通のことになっています。少し驚きますが、一個1万円を超す男性用クリームもあります。
化粧品市場が全体に頭打ちで伸び悩むなか、男性用は順調に売上を伸ばしており、業界としても今後の成長分野として男性用化粧品に力を入れている。それが現状のようです。
化粧品だけでなくエステサロンにも男性の進出は目立ってきました。脱毛コース、痩身コースだけでなく美顔コースに通う男性も多く、いまではエステ市場全体(2014年は3600億円超)の10%近くが男性用での売上だと言われています。エステも化粧品と同じく、全体の割合は女性が圧倒していますが、伸び率では男性の方が上回っています。
少しオシャレな男性なら脱毛やネイルケア、眉を整えて描くぐらいはエチケットのレベルで、鞄の中のポーチに簡単なメイク用品が入っているのも珍しくない時代です。
世界の男性化粧品市場の20%以上を占める韓流男子
草食系男子という言葉が象徴するように、最近は特に若い世代の男性が女性的な考えに共感を覚える傾向があるのかもしれません。しかし、美しさを求める男性が増えているのは日本だけではありません。ある広告会社が英米の男性を対象に行なった調査によると、全体の54%がスキンケア用品を使っており、ファンデーションは9%、コンシーラでさえ10%の男性が使用していました。肌のくすみや荒れを隠すのにファンデやコンシーラは効果的ですが、日本でも就活中の男子学生の間でコンシーラが使われていると聞きます。
圧巻はイケメン俳優が多い韓国で、一般男性も含めた年間の一人当たり化粧品代は世界トップ。2位に大差をつけて、世界の男性化粧品市場の20%以上を占めているというから、お国柄とはいえ美を追求する姿勢には並々ならぬものがあります。
気になるのは、男性のメイクを女性はどう受け止めているかです。いくつかの調査結果を見ると、「自分を良く見せたい気持ちは分かる」と肯定する意見と、「外見を気にする男性は好きじゃない」と否定する声がほぼ半々です。清潔感は大切だし、スキンケアにも抵抗はないが、目立つメイクはちょっと……というのが女性の率直な意見でしょうか。
いまは40代の男性の20%が、50代でも9%が美容院に行くように、オシャレをしたい、できればもっと美しくと願う流れは止められそうにありません。またマニキュアを塗ると癒される、軽くメイクをすると女性関係で積極的になるなどの効果も確認されています。
好きか嫌いか、肯定するか否定するかはともかく、あなたの隣の席で美しくメイクを施した男性が仕事をする、そんな時代がやってくるのも遠くないかもしれません。
時代はメトロセクシャルへ
装飾系に押される非装飾系の男たち
1990年代に英国の作家が「メトロセクシャル」という言葉を作った。都会に住み、ファッションやスキンケア、メイクにも気を使うオシャレな男性をさす。今日のファッションや化粧品の市場はこのメトロセクシャルを対象にしている。彼らとは逆に、外見にこだわらない男性たちは「レトロセクシャル」と呼ばれる。