従来の予測を上回るペースで海面上昇と NASAの科学者が警鐘
IPCCは大陸の氷床融解を計算せず世界10大都市の8都市は沿岸部に
1992年以降に世界の海面は平均で8cm上昇し、これは従来の予測を上回るペースだというデータをアメリカ航空宇宙局(NASA)の科学者が発表、「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」などの予測が甘いのではないかという議論を呼んでいる。
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、世界の海面は100年前に比べて平均で20cm上昇し、21世紀末までに起きる海面上昇は28~98cmだと予測している。
海面上昇は、主に温暖化による海水の膨張と、グリーンランドや南極などの大陸の氷床が融解することで起きるといわれている。しかし、IPCCの予測にはグリーンランドや南極の氷床が計算に入っておらず、そのため予測が甘くなっているという指摘がある。
かりに南極大陸で氷床の融解が進むと、海流の動きが鈍くなり、大陸の下に暖かい海水が集まることでさらに氷床が解けるといわれる。もし南極大陸の氷がすべて解ければ、世界の海水面は約60mも上昇すると計算されている。温暖化による海面上昇の予測は難しく、元NASAの科学者の中には今世紀末までに3m上昇すると予測する者もいる。
二酸化炭素(CO2)の排出量が上昇せず、世界の平均気温の上昇が2度以内に抑えられたとしても、世界の沿岸部の地形が大きく変化するほど海面が上昇する可能性がある。世界の10大都市のうち東京を含む8都市は沿岸部にある。やがて東京やニューヨーク、上海、ムンバイなどの巨大都市は海面上昇に脅かされることになるかもしれない。