世界の土地のうち、すでに土壌資源が劣化している割合は、33%

国連総会で「国際土壌年」と決められた2015年に、国連食糧農業機関(FAO)の事務局長は、すでに世界の土壌資源の33%は劣化していて、新たな取り組みを始めない限り2050年には一人当たりの耕作可能地は、1960年の4分の1になると警告しました。そして今年、国連の科学者組織は報告書をまとめ、土地の劣化と植物の生産性が損なわれ続けるなら、2050年までに世界で5,000万人以上が移住を余儀なくされると指摘しました。

日本の土壌は比較的養分が豊かで、酸性雨などにも強く、世界的にみても農業に適した土地だと言われています。ですから土地や土壌の劣化と聞いても、あまりリアリティを感じません。しかし、世界全体では増え続ける人口、温暖化、塩害などのために土地の荒廃と砂漠化が広がっています。科学者たちの報告では、5,000万人の移住は最善のシナリオであり、最悪の場合は7億人が移住しなければならなくなると警告しています。

世界では8億人以上が飢餓と栄養失調に直面している、とFAO事務局長は指摘しています。彼らを、そして増加する人口を養うにも、優良な土地の確保は欠かせません。