平成28年度の農作物被害172億円のうちイノシシによる被害、約51億円
都会に暮らしていると、野生動物はカラスやハトぐらいしか見ませんが、日本全国にはまだまだ多くの鳥獣が生息し、残念なことにその被害も少なくありません。今年の干支であるイノシシも、全国を荒し回る困った獣として農業関係者を悩ませています。
林野庁の発表する野生鳥獣による森林被害(平成29年度)では圧倒的にシカによる被害が大きく(約74%)、イノシシはわずか1%ほど。クマ(約10%)やノネズミ(約9%)より少なく、ノウサギ(約4%)にも及びません。しかし、農作物被害となると、平成28年度の被害総額約172億円のうち約51億円(約30%)をイノシシが占めています。
環境省によると、全国のイノシシ個体数は推定で89万頭(平成28年度末)、1978年からの40年ほどで1.7倍に増えています。国は2023年までにイノシシの生息数を半減させる目標を掲げていますが、非常に繁殖能力が強く、簡単には減らせないのが実情です。
弥生時代に本格的な稲作が始まった頃からイノシシの農業被害はあったようで、日本の農業にとってイノシシ被害は古くて新しい問題、これからも悩まされそうです。