
日本人の食の「原点」である米をつくる水田の総面積「約240万ヘクタール」
水田は、とても優秀な存在です。まず、同じ農作物(米)を毎年作っているのに連作障害が起きない。そして田に張った水が蒸発することで気温の急激な上昇を防ぎ、地下に浸透する水をろ過し、また地下水を涵養する役割もあります。そしてメダカやカエル、ザリガニなど小動物のすみかになって生態系の基盤も支えています。
しかし、日本人の食生活が変化するにつれ米の消費量が減り、当然ながら水田の面積も減少しています。昭和35年には全国に600万ヘクタールを超える農耕地がありましたが、平成30年には442万ヘクタールにまで減少、そのうち水田は240万ヘクタール余りです。
宮澤賢治のように「一日ニ玄米四合」も食べた時代と違い、いま日本人一人が年間に食べる米の量は約54㎏です。昭和37年には118㎏、平成2年でも70㎏を食べていました。そのうち米は主食ではなくなるのではないかと危惧されます。かつて1,000万トンを超えていた米の生産量も、平成29年には730万トンほどになりました。食料自給率が37%にまで落ち込み、食の安全保障が懸念されるようになったのも無理はありません。