中間処理により特別管理産業廃棄物から“卒業”させる廃棄物の量は、年間で「約269万6,000トン」
卒業は学校だけの話ではありません。廃棄物業界にも“卒業”という言葉があります。
聞き慣れない名称ですが、特別管理廃棄物(一般と産業)と呼ばれるものがあります。具体的には、PCB汚染物や医療機関などから出る感染性病原体が含まれる感染性産業廃棄物、さらには廃油、廃酸、廃アルカリ、金属物を含んだ汚泥などがそれです。
これらは通常の産業廃棄物とは別に処理されます。例えば、感染性産業廃棄物を焼却して灰にする。すると病原菌はなくなります。またPCBを中間処理して濃度を0.5mg/kg(0.5ppm)以下にする。するとそれらは特別管理廃棄物を「卒業」して通常の産業廃棄物として扱えるものになります。まあ、廃棄物の世界で使われる「業界用語」ですね。
その排出量はというと、特別管理産業廃棄物が年間に約269万6,000トン(平成29年度)です。年間3億8,354万トン(同年度)も出る通常の産業廃棄物に比べればはるかに少ないし、家庭から出る一般廃棄物(年間4,289万トン)の約16分の1なのですが、危険度はかなり高く、中間処理をして“卒業”させるには慎重を要する廃棄物です。