気候変動枠組み条約の全参加国が温室効果ガスを削減するパリ協定成立
今世紀後半に排出量「実質ゼロ」目指す。日本は2030年に13年度比26.0%削減へ
今世紀後半に温室効果ガスの排出量を「実質ゼロ」にすることを目指すパリ協定が採択され、2020年以降、先進国だけでなく気候変動枠組み条約に参加する196カ国すべてが自主的に目標値を定め、排出削減に取り組む枠組みが誕生した。
具体的な目標としては、産業革命前からの気温上昇を2℃未満に抑え、1.5℃未満になるよう努力する。そのために世界の温室効果ガス排出量をなるべく早く頭打ちにし、排出量と海水や森林などが二酸化炭素を吸収する量が同じになる「実質ゼロ」にすることを掲げている。また参加国には5年ごとに削減目標の作成・提出を義務づけ、世界全体の排出状況も5年ごとに検証することになった。先進国から途上国への資金援助は年間1000億ドルを下限とし、新しい数値目標を2025年までに設定することになっている。
法的な拘束力の弱い内容との批判もあるが、地球温暖化対策には時間的余裕がない。世界気象機関(WMO)は先ごろ、2015年の世界の平均気温は観測史上最も高くなり、産業革命以前に比べて1℃上昇する見通しだと発表した。その理由として大気中の温室効果ガス濃度の上昇を指摘しており、同機関は2014年の濃度がやはり観測史上最高の397.7ppmに達し、2016年には400ppmを超えるだろうと予測している。
なお、日本がパリ協定のために提出した2020年以降の温室効果ガス削減の数値は、2030年度に2013年度比で26.0%削減(2005年度比では25.4%削減)である。