絶滅の危機にさらされている霊長類の割合、60%
ヒトや類人猿、原猿、サルをすべて合わせたグループを霊長類と呼びます。「霊長」とは、優れた能力をもち、動物の長となるものという意味で使われています。その霊長類の約60%が絶滅の危機にさらされ、約75%は個体数が減少しているという研究論文がアメリカの科学誌に掲載されました。原因は、やはり霊長類である人間の活動でした。
霊長類でもっとも北に住むのは(ヒトを除いて)青森県下北半島に住む「北限のサル」と呼ばれるニホンザルですが、これは例外に近く、全霊長類の3分の2はインドネシア、マダガスカル、コンゴ、ブラジルの4ヵ国に生息しています。そこで起きている狩猟や違法取引、森林伐採、道路建設などが個体数減少の原因と指摘されています。生息地が破壊されると隠れる場所がなくなり、エサや水の確保も困難になります。集団が分断されて群れの個体数が減れば、繁殖に影響が及び、人間に捕まる危険性も高まります。
このまま人間が生物の多様性を破壊してしまうのか、それとも「ホモ・サピエンス」(知恵ある人)の名にふさわしい行動をとるのか。霊長類の運命はそこにかかっています。