日本の産業や文化の発展を支える最新の技術を紹介するコーナーです。
世界最小・最軽量「ペン型電動ピペット」
医療やライフサイエンスの現場で重要な分析、検査の分注作業。その精度向上と負担軽減を可能にしたのが「ペン型電動ピペット」の技術です。
世界最小・最軽量ペン型電動ピペットは…
- 職人技といわれる難しい液体の分注作業を誰でも高精度に行える
- 超極小プラスチック歯車を内蔵したマイクロアクチュエーター(小型減速機)の開発により、世界最小・最軽量化を実現!
世界初!ペンを持つように握り分注が行えるペン型電動ピペット「pipetty」
作業精度と作業負担
研究所や検査機関などの液体の分注作業の多くは手動式ピペットが使用され、主に海外製でした。
手動式のピペットは、作業者の熟練度により手元のズレや分量の精度、作業時間の差が大きく、現場の課題でした。また、すでにあった電動ピペットも、作業効率は上がるものの、大型で重く、作業上の負担となっていました。
ペン型電動ピペット「pipetty」は、技術力により、それらの課題をクリアした革新的な製品です。
高精度な「極小歯車」と「マイクロアクチュエーター」
ペン型電動ピペットで注目の技術は2つあります。
ひとつは、岩手大学の精密なプラスチック金型技術です。この金型から生み出されるプラスチック歯車の直径は約1㎜(1歯の大きさは約100㎛)と、金属では不可能な小型化を実現します。
もうひとつが、超小型プラスチック歯車を使った世界最小のマイクロアクチュエーターです。
可能性を広げる数々の優位性
電動ピペットの心臓となるアクチュエーターは、モーターと減速機で構成されます。減速機には、一般的に金属の歯車を使いますが、ペン型電動ピペットに内蔵されているマイクロアクチュエーターは超極小のプラスチック歯車を使用。金属と比べ軽量なのはもちろん、プラスチックの被膜特性により、潤滑油が不要です。さらに一般的な「多段式歯車方式」から「不思議歯車方式」の採用により、高精度化と部品点数の大幅削減が可能になりました。
これによりペン型電動ピペットは、世界最小・最軽量で高耐久、低価格など、従来の製品と比べ、大幅な進化を果たしました。
マイクロアクチュエーターは医療・バイオ機器、光学機器などでも活躍。接着剤やオイルなど高粘度の液剤を塗布できるコードレス電動ディスペンサー「Tofutty」は、コンプレッサーが必要だった従来品に比べ、小型・軽量で、工業分野の作業性を高められます。
ペン型電動ピペットは、小型軽量化を得意とする日本の技術の底力を感じる製品です。
取材協力
株式会社アイカムス・ラボ 様
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