日本の産業や文化の発展を支える最新の技術を紹介するコーナーです。
低温・低荷重のダメージフリー接合「Monster PAC®」
印刷技術を用いた低温基板実装技術で、熱に弱い素材へのIC実装と半導体製造プロセスの短縮を可能にしました。
「Monster PAC®」の秘密
- 基板側にバンプ(突起)を形成し、80℃の低温かつ低荷重でICチップを接合できる技術
- 熱に弱い樹脂や伸縮素材にもICチップの実装が可能
- 半導体製造工程が34工程からわずか3工程に集約
ICチップを高温・高荷重で基板に接合
例えば、衣類に体調を管理するセンサーを装着するなど、身の回りのあらゆるモノがインターネットにつながるIoT時代。これからは様々な形状・素材のモノにICチップが実装されることになるでしょう。しかし、従来あるような硬く曲がらないリジッド基板では対応できないため、フレキシブルで自由な形状の基板に実装する技術が必要となります。
基板にICチップを接合する際、260℃もの高温でハンダ接合が行われていますが、薄くて高密度化が進むチップは、高温・高荷重の接合では破損してしまうことがあります。また、熱に弱い素材にチップを実装すること自体が難しく、新たな技術の開発が求められていました。
低温基板実装技術により製造装置が小型化
設置スペースや製造工程数、コストも削減
コネクテックジャパンが開発した低温基板実装技術「Monster PACⓇ」は、高精度な印刷技術を半導体実装に応用することで生まれました。印刷技術を用いて基板側にバンプ(突起)を形成し、接合に特殊な導電性と非導電性ペーストを使用することで、実装温度を80℃に、圧力も20分の1まで低下させました。これにより、熱に弱い樹脂や伸縮素材にもICチップの実装が可能となりました。
低温かつ低荷重での接合プロセスを実現したことで、基板上にICチップを実装するためのフリップチップ接合装置も大幅に小型化しました。
さらに、従来30工程を超えていた半導体製造プロセスをわずか3工程に集約。すべての装置が机上に設置できるため省スペースでの製造が可能となりました。この「デスクトップファクトリー」の開発で、ケミカル&ガスフリー化と電力・CO2排出量も1000分の1を実現しました。
同社では現在、30℃での実装技術も開発中で、これが実現すればバイオチップ上にセンサーを集積するなど、幅広い用途での活用が期待されています。
また、配線を10㎛まで狭ピッチ化する「FSNIP」という転写配線技術も開発中で、今後の高密度実装やチップの小型化への応用が待たれます。
■デスクトップファクトリー導入による削減効果
PETやPUフィルムへの実装が可能に
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