日本の産業や文化の発展を支える最新の技術を紹介するコーナーです。

製造ラインモニタリングシステム「iXacs(アイザックス)」

安価な汎用センサーで古い機械が残る町工場の製造ラインをIoT化。生産性向上と労務費削減を実現しました。

手軽に導入できる生産ラインのデータ収集システムがない

製造ラインを持つ工場で生産性を向上させるには、時間あたりの生産個数や機械の稼働状況などを分析し、非効率なプロセスやボトルネックに改善を加えることが必要です。生産現場の状況をリアルタイムに収集・解析するためには製造ラインにIoT化を導入することが考えられますが、特に中小の製造業では数千万円にも及ぶ設備投資と導入後の運用がネックとなり、普及が進んでいません。

町工場を改革。安価なセンサーとクラウドでIoT化を実現

世界的な自動車メーカーの一次仕入れ先である旭鉄工株式会社は、自社製造ラインにおいて生産状況をリアルタイムに把握するため、既設の機械に取付けられる手作りで安価なセンサーを独自で開発。加えて、計測データをクラウド上で分析、グラフで可視化できるIoT技術を用いた製造ラインモニタリングシステム「iXacs」を構築。生産状況と個数、機械の停止時間、正確なサイクルタイム(1個の品物ができる時間)がリアルタイムに把握できるようになりました。例えば、ロボットの動作に余分な待ちがあることや、起動スイッチが離れたところにあることから無駄な作業時間が発生していたことなど、設備問題を見える化することで、時間のかかっていた現状把握や工程の改善を積み上げていけるようになりました。結果、同社100の製造ラインで生産性(出来高率)を平均43%向上、残業や休日出勤廃止などで年4億円の労務費節減につなげました。また、CO2排出量を見える化したことで、工場での電気、ガスの使用量削減が、そのまま副次効果としてカーボンニュートラル推進につながる仕組みとなりました。

iXacsを使った改善効果は他社でも高い効果が期待できるとして、i Smart Technologies株式会社を立ち上げ、同システムの提供を開始。機械を選ばず、また初期費用が抑えられることもあり、導入実績は200社以上に。

導入後もIoTシステムを活用できるように、データを解析し改善のアドバイスを行ったり、データを活用できる人材を養成するサービスなども提供。IoTで日本の製造現場の改革と支援を行っています。