
新製品について担当者にインタビューするコーナー。活用方法を始め、開発秘話を掲載しています。
観光農園様向けに開発したイチゴ狩り用の使い捨て簡易収穫ハサミ

担当者インタビュー
ータキゲンとしてハサミを開発したのは初めてですが、どのようなきっかけがあったのでしょうか。

観光農園様より、「イチゴ狩りの来園者がイチゴの茎ごと手で引っ張ってしまったり、折ってしまったりする。茎が傷むとその後の実の成長や収穫に影響が出るため対策したい。」とのご相談がありました。特に子どもが引っ張ってしまうケースが多く、イチゴ狩りを始める前に注意を促したり採り方のレクチャーを行ったりしていますが、しばしばそのようなことが起きてしまうと大変お困りでした。
茎折れを予防するためにハサミの貸出しを行っている農園はありますが、転んだり振り回したりして怪我をする心配が残ります。また、ハサミを大人用と子ども用に分けて準備をしていても、ゴミと一緒に捨てられてしまう、持ち帰られてしまうといったお話もあります。何より、イチゴを病害から守るために、ハサミを洗浄・消毒することが手間で負担に感じているとのことで、改善すべき点がたくさんありました。
ー様々なお困りごとがある中で開発されましたが、どのような特徴があるのでしょうか。

問題点を一つずつ洗い出して完成したのが、簡易収穫ハサミ「ベリーチョッパー」です。糸切りハサミのように互い違いに擦り合せて茎を切る構造で、イチゴをデザインした指通し穴がポイントになっています。通常、ハサミを持ちながらイチゴ狩りをするときは、片手にハサミを持ち、もう片方の手に練乳が入ったパックを持つことが想定されますが、ベリーチョッパーを使用すると、指通し穴に人差し指を入れたままイチゴを摘み食べることができるようになります。指通し穴に指が入らない場合は、通常の持ち方のように外側からも握れる形状にしたので、子どもから大人まで共通してお使いいただけます。刃先は丸みをもたせており、樹脂製のため、不意に触れてしまっても怪我の恐れがなく、安全性の高い商品となっています。
貸出したハサミの回収・洗浄・消毒作業が手間という問題に対しては、使い捨てにすることで解決できるのではないかと考えました。単に捨てられればいいというのではなく、昨今の環境問題を踏まえて材料を探していく中で目にとまったのが、プラスチックに紙パウダーを含有させた新しいバイオマス素材でした。主原料に50%以上の紙パウダーとプラスチックを混成して成形するため、枯渇が懸念されている化石資源の使用量を削減できるだけでなく、「非プラスチック」扱いとなるため、可燃ゴミとしても廃棄できることが特徴です。
同材料はおもちゃやどんぶり、箸・フォークのカトラリーなどに使われている実績があるため、プラスチック代替品となる新素材として「脱プラ・減プラ」への取組みを促進します。
本品は主原料が紙のバイオマス素材です。

- 枯渇が懸念されている化石資源の使用量を半減できる。
- 「非プラスチック」に値するため、可燃ごみとして廃棄できる。※地方自治体のルールに従ってください。
- ポリプロピレン(PP)などの汎用樹脂と比べると燃焼カロリーが低いため、焼却設備への負荷が低くなる。また、灰分の発生が少ないため、産業廃棄物の削減になる。
- 資源を採取してから成形、焼却処分までに排出される温室効果ガス(CO2)の総排出量は、汎用樹脂に比べて平均で約30%のCO2削減効果が見込める。
- 紙は植物由来の素材であり、焼却処理時に発生するCO2は植物が光合成をする際にオフセットされるとみなすことができるため、カーボンニュートラルを実現。
ーよく見るとフックのような穴がありますが、どのような用途で使うのでしょうか。

農園様によっては、イチゴ狩り中にハサミを落としたり無くしたりしないよう、ストラップを付けて手首または首からかけられるようにしたいというご要望もあったため、紐通し穴を設けました。紐を通しやすくするための工夫を凝らし、必要に応じて紐を後付けできる形状になっています。
ベリーチョッパーは使い捨てを想定して作っているため、観光客の皆さんがイチゴ狩りを楽しんだ後は、そのまま記念にお土産として持ち帰るサービスとしても使えるのではないかと思っています。イチゴ農園様でハサミの導入を検討したものの諦めてしまっていた、これから試しに使ってみたいなどご興味がありましたら、ぜひ最寄りの支店にお問合せください。

製品情報
イチゴの簡易収穫ハサミ ベリーチョッパー CP-695

●仕様
材 質:紙パウダー、ポリオレフィン
標準色:ホワイト
●用途
イチゴの収穫
硬い茎の場合、刃こぼれや破損する恐れがあります。ご注意ください。
●価格
100個 ¥5,500(税抜 ¥5,000)
▶︎「ベリーチョッパー」のネーミング
キャッチーで整合性のある商品名にしたいと考え閃きました。
ベリー=Berry(イチゴ、果実)、Very(とても)
チョッパー=Chop(切る、切り刻む、切り落とす)
▶︎製品化するにあたり大変だったこと
紙が配合されたプラスチックは初めてだったため、成形に苦労しました。一般的な汎用樹脂(PPなど)とは成形条件や弾性率などが異なるため、同じ感覚で成形すると焼け焦げてしまったり、うまく離型できませんでした。また、仕上がってもハサミの機能として成り立たないなどあり、理想の形と切れ味に仕上げるまでに時間を費やしました。
▶︎コストダウンを実現
刃と持ち手を一体型にしたため、金型構造は上下2分割できる形状にし、金型費・材料費の削減、組立て工数や部品点数の削減などが実現でき、購入していただきやすい価格に抑えることができました。
▶︎切れ味のポイント
ハサミは2枚の刃先が点で接触し噛み合うように作り上げることが重要です。常に切れる角度・位置関係をキープできるように、刃とすり合せガイドが互い違いに噛み合わさるよう設計しました。
