[第3回/山形県]自然と文明が調和した理想郷山形へ
名ドラマ「おしん」の故郷は、忘れかけた日本の風景と文化、人情と家族の絆があります。松尾芭蕉も奥の細道で名句を生んだ。その秘めた魅力の潜在価値は、とても高いのです。
日本のふるさと。家族の絆と人情
山形県は、日本の良きふるさとが残る土地です。一世帯平均人員が2.94人、三世帯の同居率が21.5%(平成22年)と全国1位で、お年寄りや家族の絆を大切にしています。また、温かい人柄の土地で、例えば10歳以上のボランティア活動の年間行動率が35.3%(平成23年)と全国でトップです。
地域の特性で、産業振興と価値の発信
山形県では、平成27年から平成31年を「山形県産業振興ビジョン」として策定し、基本目標を「不断のイノベーションによる価値の創造と“やまがた”の価値の発信を力強く推進し活力ある産業を集積」としました。
今後5年間の戦略は、以下の内容です。
【戦略1】「やまがたの明日を切り拓く産業の振興」
【戦略2】「やまがたの産業を担う中小企業・小規模事業者の振興」
【戦略3】「やまがたの産業の源となる人材の確保・育成」
山形県の産業別構成は、第1次産業3.8% (全国平均約1.2%)、第2次産業23.9%(約24.3%)観光業・サービス業などの第3次産業71.6%(約74.5%)です。(※データは平成24年 内閣府と山形県企画振興部)
多様なものづくりで高い製造技術力
山形は900年前の山形鋳物づくりから、明治以降の農耕器具、また航空機、有名なミシン産業など、ものづくりの地域でした。東北の中では製造技術力の水準が高く、「元気なモノ作り中小企業300社」に4年間(平成18年~)で25社、「ものづくり日本大賞」(平成17年~25年)で5回、14件選定され、技能検定合格者でも317人と東北でトップ、全国5位(10万人単位)で、優秀な技術者を多く輩出。県工業技術センターの技術支援の実績や、試験研究機関や工業教育機関の存在、山形大学での有機エレクトロ分野、慶応義塾大学先端生命科学のバイオテクノロジー分野など世界最先端の技術も生まれ、産学官金連携でベンチャー企業も創出されています。今後は成長分野(自動車、航空機、ロボット、環境・エネルギー、医療・福祉・健康、食品・農業)の関連産業を見据えています。
名温泉と地産地消の味。知るときっと山形ファンに
山形は冬の旅がおススメです。県内35市町村すべてに温泉が湧き出す温泉王国で、名泉も多い。なかでも銀山温泉の川を挟んだ雪の街並みは、格別の趣です。他にも樹氷の蔵王温泉、弘法大師のあつみ温泉、ワインのおいしい赤湯温泉、日本海に面した湯野浜温泉。近くにクラゲ50種類で日本一の鶴岡市立加茂水族館もあります。2月半ばには、「上杉雪灯篭まつり」も美しい。さらに芭蕉が読んだ夏の立石寺(山寺)は、実は雪景色が絶景です。
食べ物では黒毛和牛の米沢牛、玉こんにゃく、芋煮、庄内浜の地魚も種類が豊富です。フルーツ王国で、さくらんぼ、ラ・フランス、庄内柿、リンゴ「ふじ」、ぶどうなどが有名です。地元ではさといも、こんにゃく、ラーメンの消費が全国一です(平成24年〜26年平均)。
1~2月は岩のりの最盛期で、手摘みで一年分を収穫。この岩のりも入るどんがら汁(寒鱈汁)は、寒鱈をぶつ切りにして身も骨も内臓と一緒に煮込んだ旬の味です。食用ぎくも収穫時期で全国1の生産量。おひたし、酢の物で色・味を楽しみます。
仕事でも旅行でも、訪れた人はのんびりして疲れが取れるといいます。田舎暮らしの候補でも上位です。しかし認知度は全国で44位(民間地域ブランド調査2014年)と下位ランク。つまり、知ればきっと「やまがたファン」になるはずです。