
[第16回/茨城県]魅力度とのギャップ 気にしないおおらかさ

筑波山
新横綱誕生で湧く茨城県。山は筑波山、湖沼は霞ケ浦と自然豊かで春の花々の名所も多い。首都圏に近く、アカデミックな研究機関の環境と企業誘致でも日本一の実績。梅も香る。
企業立地と研究機関が茨城の力を証明する

霞ヶ浦
茨城県は、東に太平洋を望む190㎞の長い海岸線を持つ海に開けた県。「西の富士、東の筑波」といわれる筑波山が県のシンボルで、また日本で2番目に大きい湖沼の霞ケ浦は眺めも良く、鳥類や水生植物も多様で自然豊かです。
土地の可住地面積が全国で4位と広い茨城県は首都圏へも近距離で、積極的な企業誘致により県外からの企業立地は件数、面積とも全国1位です。また、産学官の研究出先機関が非常に多く、300の研究所、20,000人を超える研究者、うち約7,500人の博士号取得者(平成26年)が、最先端の研究に取り組んでいます。
一方、都道府県の魅力度ランキングでは4年連続最下位。実際の魅力とのギャップが不思議なところです。地元は魅力度を気にしないおおらかさがあるようです。
2016年Jリーグ制覇、天皇杯優勝の鹿島アントラーズ、日本女子オープンゴルフ選手権史上、初のアマチュア選手優勝の畑岡奈紗さん、そして稀勢の里関は大いに県を盛り上げました。
実はエレベーター(手動式/江戸時代)、ワイン醸造所、あんぱん(現在の木村屋總本店)、うな丼、ラジオ体操、オセロゲーム、サッカー専用スタジアム、洋上風力発電所なども、どこよりも早く茨城県で生まれています。
主要産業は製造業と農業
製造業は県内総生産の約3割を占める主要産業で、電機、機械産業関連の日立市、鉄鋼・石油化学工業の素材産業では鹿嶋市と、エリアで特徴があります。
農業も主要産業で、平成27年まで8年連続の農業産出額全国2位を維持しています。主な1位は鶏卵、甘藷、メロン、レンコン、はくさい、レタスなど他多数(平成27年)。
茨城県の産業別構成は、第1次産業1.9% (全国平均約1.2%)、第2次産業35.8%(約24.9%)、第3次産業61.4%(約74.0%)となっています。[データは平成26年度/茨城県企画部統計課]
一度は見よう、名園の梅

偕楽園
春の茨城県らしい行事は、3月31日まで開催中の第121回「水戸の梅まつり」です。会場の偕楽園は日本三名園のひとつで、水戸藩主、徳川斉昭公が領内の人たちに提供した憩いの場。梅も100種類3,000本と多く、早咲き、中咲き、遅咲きとそれぞれの見ごろを楽しめます。庭内には近代日本の教育遺産として水戸藩の藩校「弘道館」があり、文武両道の教育精神を今に伝える凛とした佇まいが感じられます。国営ひたち海浜公園の3月なら早咲きナノハナ、スイセン、4月~5月なら青一色のネモフィラの「みはらしの丘」が感動的です。海ならアクアワールド・大洗水族館。580種もの海の生物とサメ飼育数日本一で大迫力のアクアワールドを満喫しましょう。
茨城県の美味しいものは、肉なら料理を問わない常陸牛、3月までなら絶品あんこう鍋、奥久慈しゃもの親子丼とすき鍋、具材に蕎麦やクルミ、舞茸などを詰める笠間のいなり寿司、霞ケ浦の行方(なめがた)には地元産物の行方バーガーがあります。

袋田の滝
温泉は、日本三名瀑のひとつ「袋田の滝」近くの袋田温泉、大子温泉、筑波山には関東平野を一望する絶景露天風呂、霞ケ浦周辺は国民宿舎、かんぽの宿もあり湯も眺めも良い。
最後に、茨城県は人の良さが健在で、家に来たお客さんには必ずお茶を出します。「お茶やってけ」と。