1973年(昭和48年)の発刊以来、『タキゲンニュース』は社業の成長とともに歩んでまいりました。そこで、本誌バックナンバーより故 瀧源秀昭社長の発言を抜粋する連載企画をスタートしました。過去のメッセージから多くのヒントを現在に伝える、いわば原点回帰のページ。タキゲン製造の基本精神を継承する、未来へのアーカイブです。
デフレの時代に即し組織を有機的に活用
国内の経済状況が悪く、モノが売れなかった時代―― 先代が導き出した答えは、製品自体の品質向上、低価格化と短納期。だが、その前に固有する資源を有効活用しようという発想。「自分たちでできることは自分たち」で。社員に発想の転換を促す先代の言葉を紹介します。
普通の経営者はデフレになったから安くしてたくさん売ろう…と作戦を立てる。しかし、必要のないものは安くしたって買わないんです。未知数のことを当てにするような経営をしてはいけません。
売上が下がって利益が減少するのだから、賃金カットや人員整理をしなければならない。しかし、その前のデフレ対策に、まずは外注経費と流通経費の流出を食い止めることです。それは我々が汗をかけば確実にできるんです。その分を社員のお給料に充当しなければならない。「自分たちでできることはすべて、自分たちで」です。
(中略)
タキゲンは業界のトップです。これからは今までとは全く逆に一番安い、納期も一番早い、それで最高品質…。こういう考えでデフレを克服―。私はそういう方法を執ります。
変えるときは徹底的に改正する。営業戦術も180度。
昔までは営業マンが一生懸命、靴をすり減らすのが営業でした。「努力して売上を」の考え方でした。しかし、今はITや電話をうまく使って通信販売です。
今年度の編制表は大きく改め「タキゲンの営業戦術は通販を主体とした直販である」と変えました。
一般的な通信販売はカタログで品物を決め電話で注文し、宅配便での代引配達です。弊社はこれに二つ、プラスアルファーします。
これからは個人の努力ではなく組織販売であると、各支店長に指示しました。これは、今までやろうとしてもできなかった通信販売です。宅配便は品物を届けますが、御用聞きはしてくれません。だから近郊配達はタキゲンの若手社員がします。お客様のニーズやクレームなどの情報を聞いてきます。
次に、今まで受け身であった電話営業を、ベテラン電話営業が空いた時間に六万件のカタログ配布先データを基にお得意先に電話営業をします。これは、営業マンが靴をすり減らして訪問するより効率がよく効果的です。お客様に「カタログをお送りしましたけど、いかがでしたか…。」ベテランが話をすれば何らかの情報がつかめます。
営業マン個人の力ではなく組織体で動く。通信、ITなど、すべてをフルに活用して…。これを実践すれば日本にはないすぐれた組織体系になるでしょう。
タキゲンは今までとは違うやり方で組織を有効活用する―。
協力工場の方々も時代が変わった―。
真剣に考えて頂きたい。
(2002年1月号 新年経営方針発表会にて)