1973年(昭和48年)の発刊以来、『タキゲンニュース』は社業の成長とともに歩んでまいりました。そこで、本誌バックナンバーより故 瀧源秀昭社長の発言を抜粋する連載企画をスタートしました。過去のメッセージから多くのヒントを現在に伝える、いわば原点回帰のページ。タキゲン製造の基本精神を継承する、未来へのアーカイブです。
マニュアルを撤廃し、自由な発想で考える人間創りを
平成30年。平成元年に生まれた子供たちが30を迎える。昭和生まれが思い描いた未来にどこまで近づけたのか―。迫る21世紀を前に先代は、今のやり方のままでは生き残れない、『自由な発想で考える人間創り、社員創りが必要』と考えました。製品開発においても引き継がれる「ないモノは創ればいい」という姿勢は、今もタキゲンの主柱となっています。新世紀を見据え語られた、先代の言葉を紹介します。
二十一世紀に向かって日本の企業や物の考え方をどのように変えていかなければならないのか…。
私は今まで社員教育の基本を変えて、大原則を設定したうえで規定やマニュアルを撤廃していこうと考えています。
自由な発想で考える人間創り、社員創りというものがこれから必要になってくるからです。これはタキゲンだけではなく社会全体に言えることだと思うのです。なぜか…。
戦後、日本の教育はアメリカの強い影響を受けています。アメリカは多民族国家で多様な言語があり、だれが見ても同じ事が出来るようにマニュアルが発達しました。しかし、日本は単一言語で統一された国です。極端なことを言うと「目は口ほどにものを言う」と言うくらい意思の通じる国なのに、それをそっくり取り入れてしまいました。マニュアル通りにやっていけばいいじゃないか、と言う風潮があるんです。俗にいう金太郎飴のような人間ばかりで飛び抜けた発想の人間がいなくなってしまった。その弊害がこの会社にも出ています。たとえば単価。安くする必要がないのに安くしたり、安くすべきなのに定価など、根拠のないルールにはめ込んでしまった。これは基本的に間違っています。
商売の原則は支払いが良くてまとめ買いしてくれるお客さんには値引きして、単品では定価です。しかし、様々な要素、状況に応じて頭を使って考え商売してゆく、いわゆるケースバイケースの商売が出来る人、自由な発想で商売する営業体制でやって行かなければ生き残れないんです。
(1999年1月号 新年経営方針発表会にて)