
1973年(昭和48年)の発刊以来、『タキゲンニュース』は社業の成長とともに歩んでまいりました。そこで、本誌バックナンバーより故 瀧源秀昭社長の発言を抜粋する連載企画をスタートしました。過去のメッセージから多くのヒントを現在に伝える、いわば原点回帰のページ。タキゲン製造の基本精神を継承する、未来へのアーカイブです。
営業マンの仕事とは「商売の種まき」
商品の説明を行い、売ることが営業の仕事ですが、それだけでは未来は無い。業界の動向を俯瞰できるメーカーだからこそ収集できる「情報」をお客様は求めています。日々のコミュニケーションから出るお客様の要望やアイデアをもとに、売れる商品が創られる。先代が描いた未来の営業のカタチをご紹介します。
商品を持って行って、これはこうですなどPRの必要はありません。そういうことはカタログを見れば載ってるんです。
新しい情報を伝える―。
タキゲンの営業マンはゴルフの色々な話題を持ってくるからちょっと聞こうじゃないかとか。商売以外のことでもいいんです。そのうちチタンのこういうものはどうでしょう、という話もできるんです。
それで当社が図面指定されたら、直接、注文がなくともどこかの工具屋さんが買いに来てくれます。その種をまくのが営業マンの仕事です。物を売ることではありません。新しいニュースを売りに行くというのが営業マンの仕事です。
そのうちにお客さんから「こういうものを作ってくれないかな」といろいろ要望が出ると思います。そこでアイデア提案を出すんです。そういう情報をキャッチして品物を創れば売れる品物になります。それが新製品なんです。こちらのニュースも与えるし、お客さんのニュースも聞いてくるのが営業の仕事です。ですから営業マンに対して、今まで何十年間か売上ノルマを作ってやっていたけれども、それも間違いです。
営業の根本的な考え方を変えないと二十一世紀は生きていけないと思います。
きちんとお得意さんに提示に行って、色々なニュースを与えているかどうかということが評価の基準です。勤務時間も自然にフリータイマーになります。二十一世紀にはだんだんそうなってくるはずだ―。
我々の考え方、働き方は根本的に変えていかなければいけない時代が来ます…。
(1999年7月号 経営会議レポートより)