1973年(昭和48年)の発刊以来、『タキゲンニュース』は社業の成長とともに歩んでまいりました。そこで、本誌バックナンバーより故 瀧源秀昭社長の発言を抜粋する連載企画をスタートしました。過去のメッセージから多くのヒントを現在に伝える、いわば原点回帰のページ。タキゲン製造の基本精神を継承する、未来へのアーカイブです。
誕生日のお祝いにも心の通いを
タキゲンでは、社員の誕生日に会社からプレゼントを贈っています。この習慣は、社内に家族のような「和」を生み出すことを目的としています。この「和」とは、愛情があってこそ成り立つもの。一人ひとりに愛情を持って接することが会社の原動力につながると考えた先代社長の想いを紹介します。
話は大変身近な話題になりますが、つい先ごろ、ある支店長に「誕生日祝いを最近はどういう風に渡しているのか」と聞いたところ、「月に一括して渡しています」という返事。私は途端に腹を立てて、「そんな心のこもらない渡し方をするのだったら誕生日祝いは、今後やめてしまえ」と。
あなたたちの家庭では、そんな形式だけの誕生日祝いをしていますか。祝い事でも法事でも、その日その日を記憶してちゃんと行っているはずです。妻や子供たちの誕生日には、妻や子供が喜ぶようなものをその日その日にプレゼントしているはずです。家族の「和」は家庭円満です。家庭も会社もちっとも変りません。物ではなく心です。相手に対する思いやりがなければ、絶対に人はついてきません。自分の子供以上の愛情を部下に向ける心掛けがあってこそ、心の機微に触れることができるのです。愛情によって「和」が生まれることを、もう一度よく頭の中に入れて、今後の人事管理を進めていってもらいたい。
(1978年2月号 経営会議議事録より)