1973年(昭和48年)の発刊以来、『タキゲンニュース』は社業の成長とともに歩んでまいりました。そこで、本誌バックナンバーより故 瀧源秀昭社長の発言を抜粋する連載企画をスタートしました。過去のメッセージから多くのヒントを現在に伝える、いわば原点回帰のページ。タキゲン製造の基本精神を継承する、未来へのアーカイブです。
苦楽を共にするというシステムを
利益を追求し、一つの目標に向かって進んでいくとき、「ノルマ」が課されることがあります。自分がやるべき仕事や評価ばかりに執着した相手を蹴落とすノルマではなく、助け合いの精神で皆が伸びていくシステムを作ることが会社の存続に繋がると語った先代社長の言葉をご紹介します。
10年前の日記に、こんな話をしている部分を見つけました。
“…人間はそもそも競争の生き物だから、わざわざ、個人個人にノルマ表を作って拍車をかけるようなことはするべきではない。むしろ、グループ単位の団体ノルマ制にすべきである”と。
これは非常に大切なことです。
個人ノルマ制を押し通していけば、自分は自分、他人は他人、という関係になって人心は分離します。課長も係長もいらない。数字だけが先行しますから管理統制の必要もなくなるわけです。アメリカのセールスマン制度の末路が現在の惨めな姿です。
だから、一つのセクションの中で「お前が休んでいるときは、俺が肩代わりするよ」という、人間、苦楽を共にするというシステムを作らなければいけないのです。
相手を蹴落とすのではなく、助け合って互いに伸びていくのが人間生活の原則だし、仕事の基本です。人間関係がダメなら、個人ノルマ制で売上げは一時的に上がったように見えても、やがて一気に崩壊の時を迎えます。しっかり助け合いながら進む人間関係があれば、どんな危機が来ても、必ず伸びます。
(1981年2月号 経営会議議事録より)