
1973年(昭和48年)の発刊以来、『タキゲンニュース』は社業の成長とともに歩んでまいりました。そこで、本誌バックナンバーより故 瀧源秀昭社長の発言を抜粋する連載企画をスタートしました。過去のメッセージから多くのヒントを現在に伝える、いわば原点回帰のページ。タキゲン製造の基本精神を継承する、未来へのアーカイブです。
不況は愛情で乗り切ろう
お客様からタキゲンの社員は仲が良い、団結力が強いと評価いただくことがあります。その原点は、厳しい市場環境を乗り越えるために先代社長が大切にした社員同士の「和」が、今も文化として息づいているためです。
我々が現在の商売を始めたのが昭和27、8年頃。一応の形が整ったのが昭和35、6年頃ですから、今日のタキゲンの第二次原点は、昭和35、6年というべきだと思います。
その原点の時代の基本的な考え方は、「和を以て貴しとなす」でありました。「和」が基本的な経営政策だったわけです。今日の不況に対処するには、新製品の開発、組織の合理化など、いろいろやらなければならない重要課題が山積しております。
しかし、物質面以上に「社員の和」が、不況を克服する大きなファクターだと思います。全社が一丸となる「人間の和」が、今こそ大切だと思います。
「人間の和」とは愛情です。昨年、皆さんは常日頃細かい神経を使って、自分の家族と同じくらい部下に愛情を向けていましたか。その辺をやはり振り返らざるを得ないと思います。考えてみなさい。自分の家族は自分が養っているわけです。自分の部下は一生懸命働いて、ある意味養ってくれているのです。
ですから、家族や両親と同じくらいの愛情を自分の部下に向けて、細心の注意を払って人事管理をしていかなければなりません。愛情なしには部下の「和」は望めないわけです。
重ねて申します。管理職の皆さん、部下に対する愛情を基にした家族的経営こそ、現在の不況を克服する大きな原動力であると、私は信じています。
(1978年2月号 経営会議議事録 より)