
1973年(昭和48年)の発刊以来、『タキゲンニュース』は社業の成長とともに歩んでまいりました。そこで、本誌バックナンバーより故 瀧源秀昭社長の発言を抜粋する連載企画をスタートしました。過去のメッセージから多くのヒントを現在に伝える、いわば原点回帰のページ。タキゲン製造の基本精神を継承する、未来へのアーカイブです。
同じ屋根の下で、数々の良い面が見えてくる

タキゲンでは、「寮制度」を社員教育の一つとして利用しています。支店長と部下が同じ屋根の下で共同生活をしますが、良いも悪いも全てをさらけ出すことになります。しかし、深く互いを知った先には、共に働くだけでは得られない深い関係を築くことができるのです。
山本五十六のエピソードにこんな話があります。
ある参謀が「部下の教育はどうしたらよいか」と尋ねた時、「言って聞かせて、やって見せて、やらせて誉めろ。これが基本だ」と言ったそうだ。部下にやらせる以上は自分で行動しなくてはいけない。自分で率先して行動して見せる―ここから改めていきましょう。
“タキゲンは非常にユニークな幹部教育をしている” と世間からお誉めの言葉を頂いています。支店長と寮生が同じ屋根の下で同じ釜の飯を食う…という教育システムについてです。しかし私の見る限りでは、誉めてもらうほどの効果は上がっておらず、じれったい思いです。
私が自分で体験しているからよく分かるのですが、実は同じ屋根の下で同じ釜の飯を食べることほどしんどいことはありません。すべてが分かってしまうからです。自分の欠点ばかりでなく妻や子供のあらまで全部さらけ出してしまいます。また、部下の欠点も丸出しになるのです。
最初はいろいろと問題も起こるでしょう。相互の欠点ばかりが目につき、不平不満が出てくるものです。それが半年もすると見方が変わってきます。つまり、数々の良い面が見えてくるのです。
そこまで行って、住み込みは初めて成功と言えるのです。これが「同じ屋根の下で…」の成果なのです。
(1981年5月号 経営会議レポート より)