1973年(昭和48年)の発刊以来、『タキゲンニュース』は社業の成長とともに歩んでまいりました。そこで、本誌バックナンバーより故 瀧源秀昭社長の発言を抜粋する連載企画をスタートしました。過去のメッセージから多くのヒントを現在に伝える、いわば原点回帰のページ。タキゲン製造の基本精神を継承する、未来へのアーカイブです。

心の通う住込み制度を再び

皆さんに読むように渡した「トップ企業の発想法」の中で最も私が感銘を受けたのは、ある企業の成長の秘密について触れられていたコラムでした。

その企業は、戦前まで社員に対して一定期間住込みを義務付けており、社長夫人自ら社員の身の回りの世話を焼き、社長が膝を突き合せて教育してきて、それが今日において「世界的企業」と呼ばれる原動力となっているのです。その証拠に、住込みで寝食を共にした当時の若い社員の人たちは、現在、その企業にて重要ポストに就いているといいます。

したがって、タキゲンでもこれを機に、今の時代に昇華させた住込み制度を復活させたいと考えています。住込み制度には人間関係を作る基本原則があります。もし新入社員が学生時代と同じように家から会社へ通勤すれば、今までの生活パターンと同じですから、タキゲンに入社してもその生活態度は変わらないでしょう。企業人としてのより良い発想を引き出すため、最低1年間の住込みを義務付けたいと思います。

寮生活を通して、自分の家に「ただいま!」と帰ってくるような温かい人の輪を作りたいのです。そこから会社への愛情が生まれ、社員同士の心の触れ合いが生まれるのだと考えています。

(1978年4月号 経営会議レポートより)