1973年(昭和48年)の発刊以来、『タキゲンニュース』は社業の成長とともに歩んでまいりました。そこで、本誌バックナンバーより故 瀧源秀昭社長の発言を抜粋する連載企画をスタートしました。過去のメッセージから多くのヒントを現在に伝える、いわば原点回帰のページ。タキゲン製造の基本精神を継承する、未来へのアーカイブです。

売れない品物

商売をしていく上で、大変重要なことをお話しします。

今までは売れるものばかりに力を入れて、売れないものは軽視してきたきらいがあります。売れないと勝手に判断して倉庫の片隅に放り出してある。売れないものを売れるようにするにはどうしたらいいかという討議が重要です。

よい例が皆さんもご存知の牛丼チェーン店。ある店の店長に、「あなたの義務づけられた仕事で大切なことは何か?」と聞いたところ「何がどのくらい食べ残されたかを報告するのが店長の義務」と返答したそうです。これは実に重要なことです。普通の経営者なら「売れるものを報告しろ」と言うはずです。売れるものは黙っていても売れます。売れないものを、いかにして売れるようにするか。

この牛丼屋では基本的な営業原則を見事に実行しています。当社には、この大切な点が欠けています。

カタログに掲載している商品についても、削除した物がたくさんあります。カットした理由を聞くと、「売れないからです」と返事する。カットする前に、なぜ売れないのか、どうしたら売れる商品になるかという討議がされていません。

来月から売れない商品を何点か取上げて、経営会議あるいは企画推進委員会などで、具体的な討議をするようにしてください。価格が高いという結論なら、安くするにはどうしたらよいか。また構造上に問題があるなら、どう解決するか…というように、具体性をもった方向で討議することが大切です。

(1979年3月発行 タキゲンニュース51号 経営会議議事録 より)