日本が輸入する食料の生産に必要な海外の農地は「1,200万ha」

いま日本は食料の60%以上を輸入に頼っています(カロリーベース)。その食料の生産には約1,200万haの農地が必要で、それは国内の農地の2.5倍に相当する広さです。もし輸出国に不測の事態が生じて輸出が止まったら、一体どうなるでしょう。農水省は、熱供給量の高いイモ類に栽培を切り替え、国民一人あたりに一日2,020kcalぐらいは供給できると試算していますが、食事の中身はいまとは大きく違ったものになるでしょう。

経済学に「比較優位」という概念があります。それぞれが得意分野に専念して生産性を高めることですが、世界中が家族のような関係ならともかく、命を支える食料だけは得手不得手に関係なく、ある程度は自給しなければならないのでしょう。実際、G7の国々をみても、カナダ、米国、フランスは100%を超える自給率を誇り、ドイツ95%、英国63%、もっとも低いイタリアでも60%あります。(2013年のデータ)

食生活の洋風化はいまさら止められませんが、米と野菜を中心にした和食の伝統を少し見直し、過去最低水準の38%にまで低下した食料自給率を上げていくのも大切です。