新製品について担当者にインタビューするコーナー。活用方法を始め、開発秘話を掲載しています。

イチゴの生産効率をアップするための「クキサポートアーム」を開発


果托の重さに茎が耐えきれず折れてしまう


ー クキサポートアームが誕生した背景には、どのような要望があったのでしょうか?

茎は長く成長する

原田 作業や生産の効率をアップさせるため、イチゴでは高設栽培が主流になっていますが、果托の生育と共に垂れ下がる茎が重さに耐えきれず、台の縁で折れてしまうことがあります。一度折れてしまうと、甘くなる前に赤くなってしまうため、美味しくないイチゴになってしまいます。
果托を支えるネットはすでに販売されていたのですが、ネットを支えるアームが90度で固定のため角度調整をすることができず、折れてしまうことが多発していました。たまたま営業に行った複数の農家さんで同じ悩みを抱えていて、アームの角度を調整できる製品の開発を行うことになりました。
樹脂成型品であるため、高額な金型投資が必要になります。そのため、イチゴの主要生産地域の農家さんを訪問したときにお話を伺い、全国で使用していただけるような機能を盛り込みました。


ー 設計上苦労した点はどんなところでしたか?

原田 品種や成長過程で求められるアームの角度に違いが生じるため、角度調整機能が必要になります。2次元、3次元での設計を行い、試作では特に大きな問題がない製品になるだろうと予測していましたが、いざ量産品の確認をしたところ、アームのロック機構が想定以上に弱くなってしまいました。金型で量産品を製作する際は、金型から部品が抜けやすくするために抜き勾配を設けるのですが、その勾配が悪さをしている一つの要因であると気が付きました。ロック方法を変更することで解決に至りましたが、量産用の金型も一部品が完全に使用できなくなりとても苦労しました。複数の部品が付いた樹脂製品の開発は私にとって初めての経験で、製品化の兆しが見えるまでは心臓のドキドキが止まらず、新製品を生む苦しみをひしひしと感じました。


ネットの下からでもアームの角度を自由に変えられる

ー アームの調整が大きめの「つまみ」になっていますが、なぜですか?

ネットの下からみた「つまみ」

ネットの下からみた「つまみ」

原田 イチゴは栽培終了間際まで茎が成長し続けるため、生育中に角度を変更する必要があります。ロック機構をピンのような別パーツを使用した場合、部品をなくしてしまう恐れがあるため、製品一つでロック機構を完結させたいと、現場作業者からお聞きしました。そのためネットの下からでもスムーズにアームの角度を自由に変えられるように、操作性の良い大きめの「つまみ」形状にしました。


ー 農業資材だと、必ず消毒の話が出てきますが、材料の選定はどのように行ったのでしょうか?

原田 イチゴ栽培が終了した際、製品を次亜塩素酸で消毒を行うとお聞きし、薬品に強く価格も比較的安価なポリプロピレンを採用しました。弊社のCP-609というトマトやキュウリの誘引クリップも同様に消毒を行うため、ポリプロピレンを採用し実績を確認しております。また、耐候性グレードを使用しており、少しでも長く製品を使用していただけるよう材質にはこだわりました。


ー イチゴの栽培架台へ取付ける方法を2種類設けたのはどのような理由があるのでしょうか?

newproducts201912-04原田 製品開発を行う中で一番大事にしていることは現場の意見と考えており、試作ができあがった際、製品を取付ける方法を複数の農家さんで試してもらいました。初めは長手方向のパイプにパチッと取付ける形状のみで考えていましたが、地域によって栽培架台や作業者の好みが違い、栽培架台の足になる縦パイプに挿込み取付けスピードを上げたいと要望が出てきたため、製品単体で2種類の取付けができる設計に変更しました。最近では栽培架台の足になる縦パイプにパチッと取付ける方法ができないかという要望が来ており、製品化に向けて取組んでいます。

[CP-656]クキサポートアーム

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【特徴】

  • イチゴの高設ベンチへ取付けることで、イチゴの茎折れを防止します。
  • 様々な高設ベンチに取付けできます。
  • 専用ネットやハウスバンドなどを取付けられるフックが付属しています。

12段階110度の角度調整ができます。

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横パイプに掛ける
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縦パイプに挿込む


【備考】

  • 薬品によっては製品に影響を与える可能性があります。
  • 架台の両端は固定してください。

購入・詳細情報