タキゲンではお客様のご要望を具現化するために「ないモノを創る」設計部署があります。100年にわたり培われた金属加工、樹脂の成形技術で様々な課題を解決します。

試作品開発事例 「マグリスト」医工・産学官連携

タキゲンは、カタログに掲載している商品の販売だけではなく、「こんなのがあったらいいな」というお客様の声をもとに、おひとつから製品開発を⾏っています。お困りごとに合せて製作した試作品や特注品の開発事例をご紹介します。

「マグリスト」

ケニアでマグリストを使った治療現場。
伊藤様

マグリストは浜松医科大学産学連携・知財活用推進センター 伊藤様より開発の話をいただき、同大学 齊藤医師の「救急患者処置時にマグネットを使用することで鋼製小物などの器具の落下を防げるのでは?」というご提案をもとに製作しました。衛生面が整っていない国や限られた人数・スペースでの治療を行う現場で役立つ新しいツールです。

衛生面が劣悪な環境にあり、また処置を行うにも限られた人数・スペースしかない場合は、ハサミや針、鉗子などの器具は片手で持つ必要がありますが、マグリストを使用することで自身の手首に一時的に吸着させることができるようになるため、衛生的かつ少人数で効率的に処置することができるようになります。不意に器具を落とすストレスを軽減でき、消毒や交換の手間も省けるようになります。

実際に、アフリカのケニア共和国とネパールで医療ボランティアを行っている浜松医科大学 大学院生 形岡医師にお使いいただきました。


医療現場のケーブルを整理することを目的に開発した強力磁石「ケーブルキャッチマグネットC-937」を創り変えた製品。手首に装着するときに面ファスナーでは付けにくいとのことから、手首に当てるとばねの力でクルッと巻付くリストバンドタイプに変更しました。デザインにおいては、樹脂ケースの色をスタイリッシュにとのご意見があり、紺色に染色しました。

担当:沼津支店 武藤

浜松医科大学は、人々の健康と医療の未来に貢献することを重要な責務とし、教育・研究・診療機関としての役割を果たすと共に、教育・研究・診療の中から生まれる多くの研究シーズ、知的財産、ノウハウ、暗黙知などの「知」を社会に還元していく産学官連携活動を積極的に進めています。タキゲンはこうした取組みに賛同し、医療の現場でお役に立てるアイデア製品を開発することで、ひいては世界の人々が安心して生活できる環境づくりを目指していきます。


ケニアの医療事情について形岡医師に伺いました

ケニアのスラム地区に住む人々は国から認定されていない区域に住んでいるため、大半が国からの市民権を得られていない状態。隣国から出稼ぎに来ている人もおり、市民権が無いために医療を受ける機会があまりなく、「医者を初めて見た」「医者の存在を初めて知った」という現実もありました。医療プロジェクトとして渡航した際に公民館のような施設に医務室が設置されていましたが、机と簡易的なベッドがあるだけで、医療設備はもちろん、手術器具や薬は限られた状況。唯一、日本から持参していったポータブルエコーで状況判断を行い、緊急処置を行うケースもありました。現地の気温が40℃になる日もあり、長時間に及ぶ医療活動は体力的にも過酷になります。

Kibera Amaniスラム

(左上)スラムを流れる川は汚染されており安全な水の確保も課題。 
(左下)常に相棒のエコーと!
(右)スラムの路地。番地は存在せず道を聞きながら進んでいく。

Grapesyard校

我々が第⼀の⽬的として⽀援活動をしている学校です。初⽇の初診の患者がいきなりの外傷。早速処置を行いました(涙)

Magosoスラム】

学校を拠点に医療キャンプ。ここも設備が無いため椅⼦を代⽤した診察台。
室内では十分な光がないため青空処置室で対応。

【(左)バガットポカリ】【(右)レクナート病院】

(左)⼦供の健診のため学校に行くときは常にマグリストを⾝に着けています。
(右)以前に来⽇したバトライ先⽣と急患を診ました。その場で緊急処置となりマグリストがまたもや⼤活躍。

T.U Teaching Hospital】

世界的権威の⼼臓外科医コイララ先⽣にもご意⾒をいただきました。