新製品について担当者にインタビューするコーナー。活用方法を始め、開発秘話を掲載しています。

チルト機構付き「重量用高耐久双輪キャスター K-546TJ」

ータキゲンで初めて搬送ロボット用キャスターを開発しました。開発するに至った経緯をお聞かせください。

AGV(無人搬送車)を始めとする搬送ロボットは以前から存在しますが、近年は人手不足や働き方改革の影響もあり、導入が急速に進んでいます。ロボット市場が拡大するにつれて、駆動輪だけでなく、従動輪であるキャスターにもより高い性能が求められるようになりました。搬送ロボットに使用されるキャスターは海外製が主流で、国内製はほとんど流通していません。弊社にも取扱いがなかったため、キャスターを開発することでお客様の課題を解決できるのではないかと考え、開発をスタートしました。


ー搬送ロボット用キャスターに高い耐久性が求められるのはなぜでしょうか。

例えば、AGVは工場内での部材搬送に使用されており、重量物を扱ううえに長時間連続で稼働する運用が一般的です。そのため、車輪には高荷重下での耐久性と始動トルクを抑制することが求められます。
こうした要求に応えるため、本製品は車輪に高硬度ウレタンゴムを採用しています。一般的な車輪の材質であるウレタンは柔らかいため走行時に潰れやすく、走り始めに大きな負荷がかかる傾向がありますが、硬度を高めることで車輪の変形を抑制し、軽い力で回転できる優れた始動性を実現します。
また、長時間走行によって車輪温度が上昇するとウレタンが柔らかくなり、走行抵抗が増えたり、場合によっては亀裂などの損傷につながったりすることがありますが、高硬度ウレタンですと高温でも性能変化が小さく、長時間・長距離走行に対して高い安定性を発揮します。結果として、AGVはより効率的に、かつ長時間の連続走行が可能になります。
弊社では、JIS規格の約10倍にあたる100kmの走行耐久試験を実施し、その耐久性を確認しています。お客様からはもっと長距離走行できるものがほしいというニーズも多く寄せられるため、より高い耐久性を備えたキャスターの開発を追求し続けていきます。


ー一般的なキャスターと同じように見えますが、どのような特徴があるのでしょうか。

K-546TJの最大の特徴は、チルト機構を備えている点です。本製品は屋内での使用を想定して設計されていますが、工場内であっても床が必ずしも平坦とは限らず、微妙なうねりや凹凸が存在します。一般的なキャスターでは、こうした床面の不陸によって車輪が浮き上がり、走行の安定性が低下する場合があります。本製品はチルト機構を搭載しており、キャスターの角度が左右にそれぞれ5°の範囲で微小に動くことで床の凹凸を吸収し、常に車輪を地面に接地させることができます。これにより、搬送ロボットの安定した走行を維持し続けることができます。キャスターが浮くと安定走行が損なわれるだけでなく、例えば台車が牽引されている場合は台車も歪んでしまいます。安定して地面に接することは、搬送ロボットや台車の寿命にも直結する重要なポイントです。


ーキャスターに取付ける偏芯ブラケットも開発しましたが、組合せて使用するとどのようなメリットがあるのでしょうか。

偏芯ブラケットは、主に重量物を運ぶAGVや牽引用の台車に使われています。最大のメリットは、旋回性の向上とモーター負荷の軽減です。

AGVが方向転換する際、キャスターは受動的に向きを変える必要がありますが、この“向きが変わる瞬間”に最も大きな力が生じ、モーターのトルク不足によりAGVが止まってしまうことがあります。双輪キャスターは単輪に比べて旋回は滑らかですが、それでもスムーズに回れない場合はモーターのパワーアップが必要になります。しかし、モーターのスペックを上げるということは、サイズとコストがアップします。

そこで、キャスターとAGVの間に回転体となる偏芯ブラケットを追加することで、旋回時の負荷を分散する仕組みを採用しました。キャスター軸に加えてブラケット側にも軸が生まれることで、二重の回転軸によるスムーズな旋回が可能になります。「モーターはそのままに、旋回は軽くしたい」というお客様に最適なパーツです。


ーK-546TJシリーズは搬送ロボット向けのキャスターとして販売していますが、どのようなシーンでお使いいただけそうでしょうか。

キャスターは、自動車メーカーをはじめ、各種工場内で使用される部品搬送用の牽引台車への採用が増えています。生産現場の自動化が進む中で、搬送効率を高めるための基盤部品として、キャスターの役割はますます重要になっています。また、工場で使用される手押し台車など、より身近な用途への応用についても多くのお問合せをいただいています。


ー本製品が選ばれている理由はどんなところにあると思いますか。

工場の床はわずかな凹凸が多く、キャスターが浮いたり衝撃を受けたりしやすい環境です。その中で、チルト機構による接地性の高さは大きなメリットになります。また、偏芯ブラケットは旋回性を向上し、モーターのスペックを変えずに済むという点が評価されています。搬送ロボット内部に手を加える必要がないため、導入のハードルが低いことが選ばれている理由です。


ー最後に、今後の展望をお聞かせください。

搬送ロボットの普及に伴い、キャスターにも多様なニーズが生まれています。今後もラインナップの拡充や新製品の開発に取組んでまいります。キャスターに限らず、各種ロボットや牽引用台車で使用される部品についてご要望がございましたら、ぜひご相談ください。

製品情報

重量用高耐久双輪キャスター
K-546TJ

搬送用ロボットに最適なチルト機構付きキャスター

  • 長時間走行を想定した高耐久キャスター。
  • 車軸、旋回部にベアリングを採用しているため、高負荷に対しても回転がスムーズで高耐久です。
  • 高硬度ウレタンにより、優れた始動性
  • 双輪で旋回性能が良く、前進後進の切替え時の横振れが少ないです。
  • 左右5°のチルト機構が付いているため、路面の凸凹を吸収します。

【仕様】
●材質:
本体/機械構造用炭素鋼(S45C)
車輪/ウレタン(UR)
●表面仕上:
亜鉛めっきクロメート処理(MFZn-C)
【用途】
●AGV(無人搬送車)他
【納期】
●標準品…納期お問合せください
【備考】
●本品を永くご使用いただくために、定期的に摺動部へ潤滑剤の塗布をお願いします。