
1973年(昭和48年)の発刊以来、『タキゲンニュース』は社業の成長とともに歩んでまいりました。そこで、本誌バックナンバーより故 瀧源秀昭社長の発言を抜粋する連載企画をスタートしました。過去のメッセージから多くのヒントを現在に伝える、いわば原点回帰のページ。タキゲン製造の基本精神を継承する、未来へのアーカイブです。
「長所を伸ばした結果の外接円教育が大きな人間を育てるのだ」
今回は36年前の創立記念式典および入社式でのスピーチをご紹介します。
当社社名の由来とその真意を、また、従業員・新入社員に向け、人間形成の哲学を述べております。
私が「タキゲン製造」と社名を定めたのには、はっきりとした理由があります。
“タキゲン”というのは私自身の名前です。これは自分が持っている活力、生命力のすべてを投入し、体を張ってこの会社を経営していこうという私の意志です。“製造”という言葉には、タキゲンの名のもとに結束した人間集団が、自分たちの力で新しいものを創造していこうという願いが込められています。つまり、自分たちで考え、作り出し、売っていこうという人間集団に付けた会社名なのです。
会社とは、ここに集まっている人間手段を入れる器にすぎません。このことをしっかりと理解してもらいたい。志を同じくする人間の集まり、これが重要なのです。
(中略)
どんな人間にも長所があり、短所があります。ここで、人間の性格を正方形に例えてみましょう。4つの角は短所です。それらを結ぶ4本の辺が長所、つまり短所も長所も4つずつ、半々に持っていることになります。
そこで皆さんは、短所をなくすことを考えるか、または長所を伸ばすことを心掛けるか―。
まず短所をなくすことを考えて、四隅を削っていくと、最終的には円になりますね。初めの正方形に内接する円です。
ところが、短所である角はそのままにして、長所である辺をどんどん伸ばしていくとやがては角がなくなってこれも円になります。こちらは初めの正方形に外接する円です。短所をなくした結果の小さい内接円と、長所を伸ばした結果の外接円―。
これははっきりしています。
即ち自分の長所を伸ばそうと努めることで、外接円の大きな人間になれるのです。
先輩の諸君も部下を指導するに当たっては、長所をいかに伸ばしてやるか、ということを心掛けてほしい。
これは人間教育の基本として皆さんにお話しするばかりでなく、私自身が常に心に銘じていることです。
(1981年タキゲンニュース4月号 創立記念式典および入社式にて)