JAPAN CUP観戦レポート2日目/山岳賞で日本人が大活躍!

ジャパンカップ

開催日:10月17日(土)・18日(日)
大会名:2015 JAPAN CUP  CYCLE ROAD RACE in UTSUNOMIYA
観戦レポート2日目(宇都宮支店 中野)

前回に引き続き、栃木県宇都宮市で開催されたサイクルロードレース「ジャパンカップ」の観戦模様をご紹介します。今回は2日目に行われたメインとなる「ジャパンカップ サイクルロードレース」です。
©JAPANCUP UTSUNOMIYA

選手が間近に見られるレース前

古賀志林道 勾配がきつい

古賀志林道 勾配がきつい

見事な秋晴れの中、舞台は宇都宮市森林公園で行われました。

記憶に新しい関東・東北豪雨の影響で開催が危ぶまれましたが、一部コースを変更して開催されることとなりました。1周10.3km、高低差260mのコースを14周、計144.2kmのコースとなります。獲得標高差は3500mを超え、選手は4時間程度で富士山に迫る標高を登ることとなります。

ちなみに私も4月にこのコースを自転車で走ったのですが、見事にグロッキーになり1周走っただけで帰りました(笑)。

ジャパンカップ3位とアジア最優秀選手賞を獲得。新城選手

ジャパンカップ3位とアジア最優秀選手賞を獲得。新城選手

9時過ぎに到着すると、ちょうどレース前の各チームインタビューなどが行われていました。サイクルロードレースは選手とファンとの距離が圧倒的に近いことが醍醐味といわれています。

何人かの選手が通り過ぎた後、日本人で初めて3つのグランツール(イタリア、フランス、スペインで開催)完走を果たした新城(あらしろ)幸也選手が目の前を通って行きました。チームユーロップカーの一員で、来年からはイタリアのランプレ・メリダに移籍が決まっています。今回は日本ナショナルチームの一員としてジャパンカップに参加しています。

初日のクリテリウムで見事優勝。別府選手

初日のクリテリウムで見事優勝。別府選手

その後、クリテリウムを優勝したトレックファクトリーレーシングの別府史之選手も通り、さあいよいよ…と待っていたら来ました!タイムトライアルの怪物、ファビアン・カンチェラーラ選手!しばしば異次元と形容される圧倒的な強さを発揮し、世界選手権を何度も制覇しているまさにロードレース界のスーパースター!

そんな選手を、まさに触れられるような距離で間近に見ることができ、もうこれだけで宇都宮に転勤になった価値はあったと思います(笑)

世界選手権を何度も制覇。カンチェラーラ選手

世界選手権を何度も制覇。カンチェラーラ選手

アジア最高位のワンデーロードレース開幕

ジャパンカップコース観戦は危険な下りなどの一部区間を除き、選手の進路をふさがなければコースのどこで観戦してもOKです。

ツール・ド・フランスなど複数日にまたがり移動していくレースには周回コースはあまりなく、一度通ったらそれで観戦が終わりという場合が多いのですが、ジャパンカップは1dayレースということもあり周回コースとなっています。その為、 最大14回ほど選手の通過を見ることができます。

1周15〜20分程度で選手が走行するため、多くのファンは選手が通過するたびに移動し、観戦する場所を変えていきます。前日からいい場所を確保し、一日中その場所で観戦するファンもいます。

私はというと、スタート地点はあまりにも人がごった返していたため、スタートの瞬間を見るのはあきらめ、コース頂上を目指し山を登り始めます。

コース内応援メッセージ

コース内応援メッセージ

レースが始まるとスタート直後の選手たちを脇道から観戦し、再び山を登ります。

その間、道路にはファンによる選手への応援メッセージなどがチョークで描かれています。これもサイクルロードレースの特徴です。

スタートラインから頂上を通過し下る古賀志林道が一番勾配のきつい箇所となります。185mを一気に駆け上がります。選手の速度が落ちるため、長時間選手を見ることができ、観客が多い場所となります。

アクシデント発生

プロトン頂上通過

プロトン頂上通過

2度目の選手通過時にカーブのアウト側でプロトン(メインの選手集団)の通過を見ましたが、あまりの大迫力に思わず後ずさり。大集団がほんの前を通過する迫力は想像を超えていました。

その後も何度か足を止め、観戦しつつ頂上に到着。本日は山岳ステージとなっており、3周ごとに山岳ポイントが設けられています。クリテリウムのスプリントポイントと同様、山岳賞として表彰されます。

周りの人のラジオを聴いているとレースは7人の逃げ集団(少数で先行する集団)が形成され、後ろから集団がレースをコントロールする展開となっているようでした。

と、その時落車の一報が!頂上からの下りで5、6人が落車に巻き込まれたとのこと。なんとジロ・デ・イタリア総合優勝を成し遂げているダミアーノ・クネゴ選手も巻き込まれ、あえなくリタイアとなってしまいました。ジャパンカップでも過去2回優勝しており、今回も優勝争いに絡んでくると思っていただけに、非常に残念でした。

サイクルロードレースはこういった落車がたびたび起こります。集団で走るため、必ずと言っていいほど何人かが巻き込まれます。

山岳賞で日本人選手が大活躍

p_04頂上でしばらく観戦していましたが、3週目最初の山岳賞は地元の宇都宮ブリッツェンから青柳選手が獲得!地元チームの奮闘に観客も大喜びです。

6週目2度目の山岳賞は逃げ集団の中からアタック・チーム・ガストのエリック・シェパード選手が獲得しました。
その後、まさかの逃げ集団から先行して単独で走り続け、9週目3度目の山岳ポイントも獲得!単独での逃げは風の影響を受け続け一時も息をつけないため、まさに無謀と言えるものです。観客は一気にエリック選手の応援ばかりとなりました。私も一気にファンとなり、全力でエリック選手を応援です!

その後、集団から追走集団が現れ、プロトンの速度も上がっていきます。カンチェラーラ選手が先頭で集団を献身的に引き、速度を上げていきます。ロードレースは、各チームでエースとなる選手をあらかじめ決めてレースに挑みます。トレックファクトリーレーシングはカンチェラーラ選手がその先行アシストの役 割を担いました。たとえ世界的なスターでも、チームが決めたエースのためにアシストを行います。

山岳賞 日本人2人が表彰

山岳賞 日本人2人が表彰

レース後半。プロトンの速度が上がったため、ほどなく逃げ集団は吸収されました。集団に吸収される直前に飛び出していたブリヂストンアンカーの初山選手が最後の山岳賞を獲得しました。

残り2周の古賀志林道で、各チームの選手が仕掛け、再び逃げ集団が形成。その逃げ集団に、新城選手もおり、日本人選手の優勝の可能性に会場の期待が高まります。

レースは最終周回へ。新城選手ら4人が先行。

最後の登りで再びアタックがかかり、新城選手はわずかに遅れます。ここまでか…と思っていましたが、なんと下りで再び先頭集団への合流に成功!

この時点で先頭集団残りは6人となっていましたが、2人が脱落。新城選手を含む4人が最終コーナーを駆け抜け、優勝はこの4人に絞られました。
ホームストレートでの4人によるスプリント(最後の全力走)。新城選手の優勝への期待が大きく膨らみます。

先頭はバウク・モレマ選手。今年のツール・ド・フランスでも総合7位に入った実力者です。続いてウリッシ選手、ゲルツ選手、そして新城選手が続きます。

新城選手が最後にゲルツ選手を抜き3位に浮上、応援を背に、この勢いのままゴールまで…といきたいところでしたが、モレマ選手の速度は落ちず、そのままフィニッシュ。新城選手は惜しくも3位に終わりました。

ジャパンカップは2日続けてトレックファクトリーレーシングが獲得し、さすが世界で活躍する強豪チームといったところです。

しかしながら、日本人の活躍も光ったレースであったと言えます。新城選手はアジア最優秀選手賞にも輝き、表彰されました。

表彰式

表彰式

以前から観戦したかったジャパンカップを見ることができ、とても楽しい思い出ができました。

自転車に興味のない皆さんも、是非一度、観戦に訪れてはいかがでしょうか。移動手段としての自転車だけではない、新たな魅力に取りつかれてしまいますよ。

(宇都宮支店 中野)

>>前回の観戦レポート1日目(クリテリウム)の記事はコチラ