新製品について担当者にインタビューするコーナー。活用方法を始め、開発秘話を掲載しています。

超低温用冷凍庫向けに開発したFA-1627の左扉仕様を製品化

浦和支店 齋藤

開発経緯
製品情報

冷凍庫用ハンドルのパッキンが固着してしまうというご相談

ー 開発のきっかけを教えてください。

齋藤 バイオテクノロジーや化学、医療関係で使われる、超低温用冷凍庫の二重扉の内扉を締付けるために必要となる、密閉用ハンドルについて相談を受けました。

お客様がもともとレーザーカットとベンダーで試作していましたが、「密着性の高いパッキンを使用しているため固着してしまい、力を込めないと扉が開かず困っている。操作性を改善したい」とのご依頼でした。

試作中のハンドルは、窓につけるクレセントのように押して回転させ、筐体に取付けた受け金具の軸を使って扉を引き込み、密閉させる構造でした。

そこで、持ち手の回転力を、扉を引き剥がす力として利用できないかと考え、筐体に取付ける受け金具に持ち手の回転力を伝え、梃子の原理を利用してパッキンを引き剥がすという設計にしようと、ひらめきました。

二重扉の内側の密閉に(右扉仕様)

ー 開発するうえで、苦労した点はありましたか?

齋藤 取付け板と持ち手を繋ぐ「かしめ」です。緩すぎると勝手に開いてしまいますし、キツすぎると渋くて作動性が悪くなる。何度も試行錯誤を繰り返し、ちょうどいいポイントを探りました。

また、この部分は職人が手作業で行うため、品質のバラツキが発生しました。そこで、ちょうどいいかしめ具合を再現できるよう、治具を作って解決しました。答えが分かってしまえば簡単に思えることも、試行錯誤の繰り返しでした。

ー その他、工夫した点はありましたか?

齋藤 これはお客様からの要望でもあったのですが、パッキンの潰し代を調整できるように、受け金具の取付けを長穴にしています。また、受け金具の軸をローラーにすることで、梃子の原理により軽い力で操作をすることができます。さらに、持ち手のところに勾配をつけ穴を開けることで、指を引っ掛けやすくしました。

右用の抜き型を流用し、右用と同じ価格を実現


ー 今回左仕様の話が出ましたが、どういった経緯だったのでしょうか?

齋藤 家庭用の冷蔵庫と同じで、設置される場所によっては左開きの扉が必要になります。

ただ、右に比べると年間の使用量は少ないことが明白にもかかわらず、金型を投資するため、左右同じ価格で製品化できるのか心配でした。しかし、製作工場と検討したところ、抜き型は右用のものを流用し、反対に曲げれば左用に使えることが分かり、曲げ型だけ新たに製作することになりました。プレス製品ならではの解決方法で、製品化を実現しました。

タキゲンでは何でもつくることができますが、想定外の価格になってしまっては意味がありません。こんな解決方法があるのだと私自身も勉強になりました。

どんなことでも相談いただける営業マンに


ー 最後に、齋藤さんの営業活動で日々心掛けていることをお聞かせください。

齋藤 今回の左仕様のように、簡単に実現できるけれども価格面に不安要素が残る案件も、すぐに諦めないで解決の糸口を探すようにしています。入社3年目で知識も経験もまだまだ浅いですが、自分で考え、先輩や製作現場に相談し、様々なことを日々吸収しています。もちろん、お客様に教えていただくことも多く、力不足を感じることもありますが、数年後にはどんなことでも齋藤に相談すれば安心と思っていただけるような営業マンになりたいです。

製品情報

[FA-1627]密閉用ハンドル

スムーズな操作感で、扉を確実に密閉

ローラーの働きにより、スムーズな操作感で扉を確実に密閉することができます。
受け金具は取付け穴が長穴のため、位置調節が可能です。
面付けのため、取付けが簡単です。


仕様

・材  質:本体 / 冷間圧延ステンレス鋼板(SUS304)
      グリップ / ポリ塩化ビニル(PVC)
・表面仕上:バレル研磨