新製品について担当者にインタビューするコーナー。活用方法を始め、開発秘話を掲載しています。

極柱キャップで産業用蓄電設備工事の安全性と作業効率が向上

開発の経緯


ー 開発の経緯を教えてください。

白石 電気設備工事会社さんから相談をいただき、鉛蓄電池用の極柱キャップと伸縮コードを開発しました。

産業用鉛蓄電池は、大・小の蓄電設備に大量に使用されています。主な用途としては、災害時に停電したとき、設備が停止しないよう非常用電源として設置されています。鉛蓄電池の歴史は古く、1859年にフランス人の科学者、ガストン・プランテが発明しました。他の二次電池と比べてコストパフォーマンスに優れるため、リチウムイオン電池など新しい電池が開発される中、鉛蓄電池の生産シェアは約2割を保ち続けています。身近な用途では車のバッテリーが挙げられます。

電池メーカーが販売する産業用鉛蓄電池には、プラスとマイナスの極柱にキャップが付いていないことがほとんどのようです。そのため電気設備工事会社では、蓄電池の運搬から設置作業完了までの間、安全対策として極柱部分を保護しておかなければなりません。極柱がむき出しの状態のままでは、金属製の工具などが極柱に触れてショートさせてしまう事故の原因となるからです。そのような事故を防ぐために、従来は絶縁テープを極柱に貼って保護をしていましたが、テープを貼ったり剥がしたりする作業の手間や、ゴミが出るなどの問題を抱えていました。

また、鉛蓄電池は数十個を1ユニットとして接続して使用され、現場によっては何ユニットも設置されます。たくさん並べられた蓄電池のプラスとマイナスの極柱を銅バーで指示書通りに接続していきますが、このような単純な作業の繰り返しはミスが発生しやすいそうです。接続ミスが発生してしまうと、ショート事故や蓄電設備の作動不良などに繋がってしまいます。接続ミス防止のための作業として、接続作業を行う前に絶縁テープを貼って接続をシミュレーションし、それを写真撮影して第三者が確認するという徹底した安全対策をとられています。ここでも作業の手間とゴミの問題がありました。

そのようなお客様の問題をお聞きして、極柱に簡単に着脱できるキャップと、キャップ同士を接続する視認性の良い伸縮コードを開発しました。

メーカーごとに異なる極柱に対応


ー 今回2種類のキャップを開発していますが、材質や形状で工夫した点は何ですか?

白石 極柱の形状はメーカーによって若干異なりますが、より汎用性が高くなるように設計しました。

丸型極柱キャップCP-30-IC-Sの使用対象となる丸型の極柱は、極柱の高さや径、ネジ穴サイズがメーカーごとで若干異なっていることが大きな課題でした。そこで、一つのキャップで兼用させるためには、柔軟性が重要と考えました。ただし材質が柔らかければ良いというわけではなく、耐久性も考慮しなければなりません。材質と形状をいくつも検討・試作して、現在の材質(ポリウレタン)と形状(伸縮形状)にたどり着きました。

角型極柱キャップCP-30-SIC-Sでは、コストパフォーマンスが良いポリプロピレンを採用しました。内部に突起を設けることで微妙なサイズ違いを吸収できる設計になっています。こちらは、小型タイプも追加で製作しました。

コードの改良により伸縮性と視認性、着脱性を向上


ー リリースから2年でコードが改良されましたが、これはどのような経緯があったのでしょうか?

白石 当初はカールコードで製作していましたが、コードの素材自体には伸縮性が無いために、キャップに対しての着脱性があまり良くありませんでした。またカールコードは伸ばした際に、細い線になってしまうため、視認性が良いとは言えませんでした。そこで新しい伸縮コードでは、材質を伸縮性のあるゴムにしました。また独特な形状のデザインとすることで伸縮性と視認性、着脱性を向上させた製品に改良できました。またコストダウンも実現できています。

絶縁テープと比べ、作業効率が格段にアップ


ー キャップやコードは繰り返し使用することができるのでしょうか?

白石 もちろん、繰り返し使用していただくことができます。絶縁テープを使用していた頃に比べて、「貼る・剥がす」作業から「被せる・外す」作業になったため、作業効率も格段にアップし、後片付けも楽になったと、嬉しい報告をいただきました。ただ、合成樹脂はどうしても経年変化を起こすため、キャップに亀裂や劣化が見られた際は、速やかに交換するようにしてください。

営業活動をする中で


ー 最後に、営業活動の中で白石さんが心がけていることを教えてください。

白石 最近ではメールでの問合せが増え、お客様の声を聞かなくても仕事を完了することができますが、時間を見つけて訪問するようにしています。入社当時は人見知りで、お客様と話すのが得意ではありませんでした。しかし、メールや電話で対応しているよりも、直接会って話を伺うほうが、得られる情報が多く効率よく仕事が進むうえ、追加の注文をもらえることもあります。そしてお客様の仕事場に足を運ぶことによって、いろいろな業界の知らない世界を覗くことができ、それが楽しみにもなっています。タキゲンでは多くの営業マンがいます。遠距離だとすぐに伺うことが難しい場合もありますが、支店は日本各地に16店舗あるので、お気軽にご相談ください

製品情報

極柱キャップ

蓄電設備工事の安全性を向上

設置工事中の蓄電池間の短絡事故や接続ミスの防止に効果的です。
鮮やかな色の樹脂により、キャップの装着が遠くからでも分かります。
伸縮キャップにより、メーカーごとに異なる蓄電池の極柱形状に追従します。(CP-30-IC-S)


仕様
材質:
CP-30-IC-S/熱可塑性ポリウレタン(TPU)
CP-30-SIC-S/ポリプロピレン(PP)
用途
・経年変化などにより、キャップに劣化、亀裂が見られた場合は使用を中止し、新しいものと交換してください。
・伸縮ゴムコード(CP-30-IC-RS)は別売です。
・従来品、極柱キャップ CP-30-IC-Wは中止予定品です。

[CP-30-IC-RS]伸縮ゴムコード

極柱キャップ用ゴムコード

鮮やかな色の伸縮ゴムにより、蓄電池間の接続箇所を示すことができます。


仕様
材質:エチレンプロピレンゴム(EPDM)