サスティナブルなモノづくりを −令和四年 賀詞交歓会 常務取締役 製品設計部長 瀬川 志朗 年頭挨拶−
大量生産の裏で多くを捨てている現実
新型コロナウイルス感染症のパンデミックという未曽有の危機は、世の中を大きく変えてきています。私はこれまでタキゲンで長いこと仕事を続けてきましたが、世の中がこれほど様変わりしたことは記憶にありません。
様々な業界で影響をもたらしていますが、コロナ禍で食品ロスというワードをよく耳にするようになりました。飲食店やスーパー、コンビニでは食品が余り、食べられることなく廃棄される。その量が年間570万トンと言われ、これは日本国民1億2千万人が、毎日、茶碗1杯分のご飯を捨てているのと同じ量になります。実にもったいない話です。
モノづくりの現場でも、無駄のない製品づくりにつなげなければなりません。
協力工場様にお伺いしたときに、工場の片隅にある廃棄物処理用ケースの中に、綺麗にめっきまで施された商品が大量に廃棄されているのを目にしました。目を凝らさないと分からないような細部にめっきが乗っていない部分があるため不良品となるとのこと。
確かに、製作現場の方々がタキゲンの製作指示書に従い、それを忠実に守り、良品を納入する姿勢であることに深く感謝するのですが、心の内には何か晴れないモヤが残ります。
最後のめっき処理で商品が不良品だと判断される。そこまで作り上げるのに割かれた多くの人の手間と時間が無に帰することの虚しさ、歩留まりの悪さは、心を込めて製作されている皆様が一番強く感じられていることだと思います。
共に目指す新たなモノづくり
製品づくりでも、些細なところで不良が生じ、大量に廃棄されているのが現実です。
今、世界でSDGs(持続可能な開発目標)への取組みが進められています。あまりにも広く壮大な課題ですが、はたして弊社、並びにここにご参列いただいている協力工場の皆様方と一緒に地球環境を守るためにできることは何でしょうか。ダイカストやプレス、樹脂成形、ゴムなど、あらゆる部門で抱えている問題を洗い出し、無駄のない製品づくりを行っていく必要があります。
これからを歩んでいくために地球環境について考え、また無駄なものを省いていこうとする意識が生まれれば、新しいモノづくりのあり方も生まれてくるのではないでしょうか。
コロナインパクトを含め、時代は大きく変わろうとしています。田中社長という新監督の元、社員一丸となって挑戦を続けていきますが、タキゲン製造というフォワードだけでは戦い抜くことはできません。バック、両サイドに協力工場の皆様、ゴールキーパーに弁護士や会計士の先生方といったタキゲングループが、チーム一丸となってこれからの激動の時代を乗り越えていかなくてはなりません。
我々開発・設計部門も新しい時代に対応した戦術を考え戦っていきますので、今後ともよろしくお願い申し上げます。