2014年に次ぎ2015年も平均気温が観測史上最高にと世界気象機関が予測
多くの数値が観測史上最高を記録 世界各地で極端な気象現象が多発
世界気象機関(WMO)は、2015年の世界の平均気温が、観測史上最も高かった2014年を上回り、工業化以前に比べて1℃上昇する重大な段階に達するだろうと報告した。原因は人為的な地球温暖化、そして強力なエルニーニョ現象にあるという。
同機関の報告によると、2015年1月から10月のデータ分析では同年の世界平均気温が1961〜1990年の平均気温(14.0℃)を約0.73℃上回り、工業化以前(1880〜1899年)と比べると約1℃高かった。また2011〜2015年の5年間は1961〜1990年の平均より約0.57℃高く、これも観測史上最高の数字となった。それを裏付けるように、2015年は世界各地で極端な気象現象が多発し、北半球では春に大気中のCO2濃度が初めて400ppmを超えた。
こうした事実を踏まえて昨年12月にパリで国連気候変動パリ会議が開催されたが、国連環境計画(UNEP)は、2100年までに地球の気温上昇を2℃以下に抑えるという世界の目標を達成するには、まだCO2排出量の削減が不十分だとする報告書(2015 Emissions Gap Report)を公表した。
同報告書では、各国が国連気候変動枠組条約に提出した約束草案の内容を評価し、こうした世界の削減努力で2030年に予想される排出量から最大11ギガトン(CO2換算)を削減できると予測した。しかし、それでも2100年までに気温上昇を2℃未満に抑える可能性が高いとされる排出水準値に比べれば半分程度で、さらなる排出量の削減がなければ気候変動の悪影響は今後も避けられないと警鐘を鳴らしている。