情報の面白さを、ちょっと視点を変えて眺めてみると今までと違った側面が見えてきて、時にはビジネスにも役立つ発想がわいてきたりするものです。
「ストレス社会が生み出す依存症」ギャンブル、ネット、アルコールで1,000万人超す
過去10年で倍になった女性のアルコール依存症
最近は、電車の中で新聞や雑誌、文庫本を読む人より、スマホを覗いている人が多くなりました。子供たちは家でも外でも小型のゲーム機を手放しません。そして、駅前のパチンコ店は朝から満員で、チンジャラと大きな音を響かせています。多くの人がそんな光景にも慣れてしまいましたが、改めて考えると少し不自然な光景ではないでしょうか。
厚生労働省の調査によると、すでに日本は依存症大国になっているようで、成人人口の4.8%に当たる536万人がギャンブル依存症だそうです。特に、男性は8.7%が「病的ギャンブラー」(依存症)で、アメリカの1.58%、韓国の0.8%などに比べても、日本は驚くほどギャンブル依存症が多いのが実情です。
公営ギャンブルが多々あり、街のあちこちにパチンコ店やスロット店が多いという社会性が原因なのでしょうか。それとも、依存症になりやすい国民気質なのでしょうか。
依存症とは、脳に作用する物質(薬物やアルコール、ニコチンなど)を摂取する、あるいは脳が快感を覚える行為を繰り返すうちに習慣性ができ、それらの行為を求める欲求が異様に高まって、その刺激がないと精神的にも肉体的にも不安定になる症状です。英語では依存症をaddictionと言いますが、辞書では「中毒」とも表記されています。
アルコール依存症は109万人と推計されました。目立つのは女性のアルコール依存症が増えていること。女性は男性より体が小さく、女性ホルモンがアルコール代謝を阻害するため、同じ量でも男性より強く影響がでます。しかし、最近は酒類メーカーが女性消費者の拡大を狙った広告を展開することもあり、過去10年ほどで依存症が倍増しています。
成人男性の20%、女性の15%がインターネット依存症に
ここ数年で急速に増えているのがインターネット依存症です。厚生労働省の発表では421万人で、過去5年ほどで1.5倍になっています。やはり若い世代ほど依存症が多く、調査では20代前半の男性の約20%、女性の約15%が依存症と判定されています。
厚生労働省の調査は成人を対象としたものです。小さい頃からゲーム機やネットに接して育ってきた未成年のネット依存度を思うと、この先、どれほどのネット依存社会になっていくのか、想像するだけで恐ろしくなってきます。
凝る、はまる、癖になる、あるいはマイブームなど、モノや行為に夢中になるのは誰にでも経験があるはずです。しかし、依存症と呼ばれるレベルとなると話は別で、実際、極度の依存症になると個人の意志の力だけでは克服するのは難しくなります。薬物依存症が典型ですが、更正機関に入って治療しなければ依存症から脱することはできません。
依存症は、物質に対する依存(薬物、アルコール、ニコチンなど)、行為に対する依存(ギャンブル、ネット、ゲーム、買い物など)、人間関係に対する依存に分類されますが、多くの場合、ストレス解消のために軽い気持ちで始め、脳が快感や開放感を覚えることで徐々に深みにはまり……、やがて抜け出せなくなる。約1,800万人もの人が依存症になっているタバコ(ニコチン)のことを思ってみれば、そのプロセスは理解できるでしょう。
現代はストレスの多い社会です。また、それ以上に誘惑が多い時代です。あまり禁欲的になる必要もないでしょうが、人間は精神的に弱い存在だと自覚して行動する。そして、いつも自分を客観的に観察しておく。それが依存症にはまらない方法の一つです。
依存症の兆候を判定する法
一つでも心当たりがあれば要注意
ハーバード大学の健康情報サイトに掲載されている判定法。
- 対象となる薬物や行為に以前より頻繁に接しているか。
- その薬物や行為に接していないと禁断症状を覚えるか。
- 薬物や行為の頻度について誰かにウソをついた経験があるか。
この3つのうち1つでもイエスがあれば、依存症の危険性あり