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「人生85年時代を明るく、元気に」鍵は食事と運動、そして前向きに生きる姿勢か

人生85歳

8~9年もある平均寿命と健康寿命の差

健康長寿を長くして、介護が必要な人を減らせば、医療や介護の費用を10年間に2兆~5兆円ぐらい節減できる。先頃、厚生労働省がこんな推計を発表しました。

いうまでもなく日本は世界に冠たる長寿大国で、2013年の日本人の平均寿命は女性86.61歳、男性は初めて80歳を超えて80.21歳となっています。100歳以上の人は5万4,397人で、うち女性が4万7,606人(87.5%)となっています。日本人の平均寿命が50歳を超えたのは1947年のことですが、それから70年足らずで30歳以上も延びました。

8~9年もある平均寿命と健康寿命の差

しかし、手放しで長寿を喜べない現実もあります。もう20年ほど前にある医師と話している時、日本人の寝たきり期間は平均で10年あると教えられてショックを受けた記憶がありますが、実際、世界保健機関(WHO)のデータ(2014年)で日本人の健康寿命は男性72.3歳、女性77.7歳となっています。つまり8~9年ほどは寝たきり、あるいは介護が必要な状態で過ごしている。それが長寿大国・日本の悲しい一面でもあるのです。

現在は65歳以上の人の7人に1人が認知症ですが、2025年には5人に1人、およそ700万人が認知症になるだろうとの推計もあります。厚生労働省の発表は、介護などを必要とせず自立して日常生活をおくれる「健康寿命」を延ばし、「要介護2」(歩行や食事に何らかの支えが必要)以上の人が10年で10%減ると仮定すれば、10年間で5兆2,914円の費用を節減ができるというものです。国の予算をみても医療や福祉、介護などの費用は莫大な額になっていますから、それを少しでも減らすのは大切です。しかし、健康寿命が延びるのはなにより長生きする本人の幸せであり、家族など周囲の人びとの幸せでもあります。

皮肉屋さんはアルツハイマーの発症リスクが高い

元気に楽しく暮らせなければ、長生きの甲斐がない。それは誰もが思うことです。そして、そのために食事に注意を払い、適度の運動を心がけている人も多いはずです。確かに食事は重要です。ロンドン大学の調査では、一日あたり560gの野菜や果物を摂る人は、80g以下の人に比べて早死にするリスクが42%も減るという結果が出ています。

しかし、もっと大切なこともあるはずです。以前、沖縄の医療者が笑って言いました。「沖縄の人が長生きなのは、食べ物のせいというより、『なんくるないさあ』のおかげですよ」。『なんくるないさあ』は「何でもないさ」というニュアンスで、何があっても挫けず、前向きに生きる姿勢を表しています。常にポジティブに生きるのが大切だ、と。

それを裏付ける研究結果があります。カナダの大学が6,000人以上を対象に14年間にわたって調査したところ、人生の目的や目標を見つけて、それを達成しようという意識のある人は、そうでない人より長生きする可能性が高く、その意識を持つのが早ければ、それだけ効果があるようだ、というのです。

昔から「憎まれっ子世にはばかる」とも言われますが、明るく、前向きに、そして人生の目的や目標を見つけてポジティブに生きていく。やはり基本はそれのようです。