[第38回/奈良県]古のロマン漂う 春の奈良県

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法隆寺

春がよく似合う奈良県。律令国家の完成形としての歴史を刻む佇まいは、落ち着きと季節の兆しに包まれます。3つの世界遺産を持つ古都は、春を告げる「お水取り」も間近です。

本当の旅人は奈良へ

飛鳥、奈良時代の日本の中心は奈良県。藤原京から平城京への遷都で唐の長安に倣った本格的な都づくりは律令国家への歴史でした。3つの世界遺産、「法隆寺地域の仏教建造物」「古都奈良の文化財」「紀伊山地の霊場と参詣道」と、国宝の仏像74件、建造物64件は、すべて国内最多(2018年)です。

「鹿と大仏」だけを見れば十分といった日帰り観光のイメージがある一方で、「本当の旅人は京都より奈良へ行く」とも言われます。宿泊費も手頃な奈良県で2日間の日程を組むもよし、東京から鉄道で約3時間と意外に近いのです。

奈良県の伝統的産業には書道の墨(全国95%のシェア)や筆、漆器、茶筅と、靴下、ニットなどの繊維関連、県産のブランドはいちご、スイカ、柿、三輪そうめん、吉野杉などがあります。

産業別構成比は、第1次産業0.6%(全国平均約1.1%)、第2次産業22.7%(約26.2%)、第3次産業75.7%(約72.7%)となっています。

(データは平成27年度/奈良県版GDP統計(県民経済計算)より算出)

歴史的文化財の宝庫

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東大寺二月堂 お水取り

季節は東大寺二月堂の「お水取り」が間近です。正式には「修二会(しゅにえ)」といい、毎年3月1日~14日の期間に毎夜松明が回廊を駆ける「お松明」が執り行われ、特に12日は「籠松明」で規模も大きくなり、未明(13日)には実際に「お水取り」が行われ、全国に知られた幻想的な儀式の一日となります。

奈良観光の基本は「南都7大寺」の東大寺、興福寺、元興寺、大安寺、西大寺、薬師寺、法隆寺に唐招提寺を加え、さらに春日大社や若草山を回ります。

次に訪れるのが710年遷都の平城京跡。天皇の住居や役所のあった平城宮跡が現在も残り、資料館や復元された第一次大極殿、朱雀門などが開放されています。当時の都は東西約4.2km、南北約4.8kmの長方形の真ん中を路幅74mの朱雀大路が南北に走り、さらに長方形の東側に東西約1.6km、南北約2.1kmの外京を整備し、その外側に東大寺が位置する東京ドーム約513個分の大都市でした。ぜひ現地で想像しましょう。

歩く観光地は2つ。1つ目が「剣豪の里」の柳生。柳生歴代の墓がある芳徳寺や修行の場であった一刀石、旧柳生藩家老屋敷など、いまにも剣豪たちが現れそうな雰囲気なのです。2つ目が日本書記にも記された日本最古の道「山の辺の道」。桜井から天理までの名所旧跡を訪ねて歩く16km(4時間半~5時間)は、古代に思いを馳せる本物の旅です。

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柿の葉寿司

奈良のグルメは、海の幸を酢飯にのせて柿の葉で包んだ「柿の葉寿司」。店で食べてもお土産にも最適です。ローカル食の「茶がゆ」も食事処やホテルなどで食べられます。天理市には「天理スタミナラーメン」と「彩華ラーメン」がご当地の味。お土産は「奈良漬」と「まほろば大仏プリン」が好評です。

最後に穴場情報を1つ。奈良県庁の食堂(6F)は眺めもよく、ワンコイン程度で誰でもランチが午後2時半まで食べられ、屋上に上がれば古都を一望できる絶好のスポットです。

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