日本の産業や文化の発展を支える最新の技術を紹介するコーナーです。

IoT型胎児モニター「分娩監視装置iCTG」

左は母体陣痛計、右が胎児心拍計。数値は専用アプリに表示される。

日本発の胎児モニタリング技術が、世界中の安全な出産に貢献します。

頻繁な通院から解放し、母子の安全を見守りたい

妊婦健診では、胎児の心拍の状態や妊婦のお腹の張りなど、病院での定期的な計測が必要ですが、通院時間が限られている働く女性や離島・山間部など出産施設がない地域での頻繁な通院は負担が大きく、環境整備が求められていました。

医療+ITで安全な出産に貢献

従来は大型の装置でしかできなかった測定が、携帯できるほど小型化。妊婦が自宅や勤務先で手軽に計測し、そのデータを医師に送信できる遠隔医療装置として活用できるようにしたのが、IoT型胎児モニター「分娩監視装置 iCTG」です。


iCTGの開発には従来装置の小型化が必須で、高度な信号処理の実現や、低周波域での小型化が難しいスピーカー問題など、課題が山積していました。

しかし、アナログ処理のデジタル化や、信号周波数を倍加させる技術でスピーカーの小型化を実現させるなど、次々と課題を克服し、据置型と同等の性能を保持した世界に類を見ない高性能なIoT型胎児モニターが完成しました。

ハート形をした器具にはセンサーがついていて、それぞれ妊婦のお腹にあてると胎児の心拍数と妊婦のお腹の張り具合を計測。結果はスマートフォンやタブレットのアプリケーション内に表示されるため、従来装置のようにケーブルに煩わされることもありません。また、周産期遠隔医療プラットフォーム「Melody i」に接続すれば、遠隔でもデータを確認することができ、医師の遠隔診断が可能になります。

妊婦と医師だけではなく、クリニックとNICU(新生児集中治療室)のある中核病院とのデータ連携も可能で、初産で陣痛の勘違いがあっても、この装置なら病院に出向かわなくても自宅で医師に知らせ、受診するべきかの判断を仰げます。さらに、受診前でも計測できるため、胎児の異常を早い段階で発見でき、胎児死亡などの予期せぬ事態を軽減できる可能性が高まります。

現在、国内の70病院、海外では東南アジア圏、アフリカ圏などでも活用されており、世界の出産事情改善に大いに貢献しています。