情報の面白さを、ちょっと視点を変えて眺めてみると今までと違った側面が見えてきて、時にはビジネスにも役立つ発想がわいてきたりするものです。

ちょっと気になる若者の“○○離れ” 〜クルマ、酒、タバコだけでなくセックス、結婚まで〜

免許保有者に占める20代の割合は12.4%、飲酒、喫煙でも20代は低い

若者のクルマ離れが言われだしたのは21世紀を迎えた頃でした。当初は「本当かな」と疑問視する人も多かったのですが、最近の各種アンケートでは「車庫代や維持費にお金がかかる」「お金はほかのことに使いたい」「必要なときはカーシェアリングすればいい」「クルマの必要性を感じない」など、はっきりとクルマ離れの傾向が見えます。

運転免許証の保有状況が物語っています。警察庁の「運転免許統計」では、20〜29歳で免許証を持っているのは10,152,485人。全保有者に占める割合は12.4%で、30代の16.5%、40代の21.5%に比べても少数です。それは若いほど顕著で、20〜24歳(5.8%)と25〜29歳(6.6%)は70〜74歳の6.9%にも及ばないのです。確かに都市部では交通渋滞が激しく、電車や地下鉄で移動した方が早いし、便利だという選択は賢明でしょうが。

アルコール離れも進んでいます。厚生労働省の調査で、「生活習慣病のリスクを高める量」(1日のアルコール量が男性で40g以上、女性で20g以上)を飲んでいると答えたのは、20〜29歳で8.5%だけ。30代の14.5%、40代の21.4%、50代の21.2%とは比較になりません。また東京都のアンケートでは、20代の約25%が「飲まない、飲めない」でした。これでは中高年のおじさんたちが飲みニケーションで親睦を図ろうとしても難しくなる一方でしょう。

喫煙率も20代は低い。厚生労働省の「国民健康・栄養調査」(平成29年度)では、20〜29歳で喫煙の習慣があるのは男性26.6%(30代39.7%、40代39.6%)、女性6.3%(30代8.5%、40代12.3%)でした。一方、1965年の喫煙率を見ると、全男性が82.3%(20代80.5%)、全女性が15.7%(20代6.6%)でしたから、ずいぶん健康的になったものです。

休日に10代がテレビを観る時間は122分、ネット利用は225分

IT時代が進むにつれ、若い人ほどテレビを観なくなってきました。一部では、テレビはオワコン(終わったコンテンツ)だとの厳しい指摘もあります。

総務省の「情報通信白書」(平成29年版)のデータでは、休日にテレビを観る時間は全世代では225分ですが、20代では152分、そして10代では122分となっており、60代の325分と比較すると、完全に「時代が違う」と感じます。休日のネット利用時間では、10代の225分、20代の216分がほかの世代を圧倒しています。30歳以下は完全にIT世代と言えます。また10〜30代では、新聞もほぼオワコンになっているのも興味深い。

メカや嗜好品、情報機器だけでなく、若い人ほど人間関係からも離れようとしているようです。今年4月、東京大学とスウェーデンの研究所が、2015年の時点で18〜39歳の日本人男性のうち25.8%が女性との性交渉の経験がなく(1992年は20%)、女性は24.6%(同21.7%)だとの論文を発表して話題を呼びました。「草食系」「セックス離れ」と言われますが、そこに「内向性」も加わり他者との関係を避けているのかもしれません。となれば「生涯未婚率」が上がるのも道理で、2015年の国勢調査に基づく実績値では男性23.4%、女性14.1%になっています(1970年は男性1.7%、女性3.3%)。もっとも、単に人間関係だけでなく、背景には雇用問題や経済格差などがあるとの指摘も多くあります。

いつの時代も社会の変化は若者がリードします。酒やタバコをやらず健康に留意し、クルマも控えてエコロジーにも配慮する。それは良いことです。しかし、他者との関わりを必要以上に避けるのだとしたら、ちょっと寂しい社会になるのかもしれません。