1973年(昭和48年)の発刊以来、『タキゲンニュース』は社業の成長とともに歩んでまいりました。そこで、本誌バックナンバーより故 瀧源秀昭社長の発言を抜粋する連載企画をスタートしました。過去のメッセージから多くのヒントを現在に伝える、いわば原点回帰のページ。タキゲン製造の基本精神を継承する、未来へのアーカイブです。
部ちょう、課ちょう、盲ちょう、脱ちょう… 社内で職位を付けて呼ぶのはやめよう
タキゲンでは役職者であっても社員同士を「さん」付けで呼ぶ社風があります。人間の和を重んじ、家族のような団結で苦境を乗り越えていく。タキゲンならではの団結について、先代社長が語ったエピソードをご紹介します。
私は職位で人を呼んではいけないと言ってきました。“○○さん”という表現と“○○課長”“○○部長”という表現には、自ずと隔たりがあります。職位を付けた呼び方は事務的な表現に限られます。“○○さん” と言った表現には、心のこもった人間関係のすべてが包含されるわけです。会社での一日は、何も仕事をするばかりではないはずです。そこには人間同士のすべての関係があるはずです。「心、形に現るる」という言葉があります。事務的な呼び方をするから、事務的な人間関係になるのです。親しみのこもった呼び方は、「和」の基本に通じると考えるからです。去年も「職位で呼ぶとしたら社長か支店長止まりだよ、あとは“○○さん”と呼びなさいよ」とお話をしたはずです。
社長という呼び名に対しても、私は非常に抵抗を感じているわけですから―。
会社も、500人、1,000人という大きな組織体になったら話は違ってきます。なぜならば、組織で仕事を動かすようになるからです。しかし、タキゲンはパートも入れて130人くらいの小会社です(編集部註:1978年当時)。組織と言えるほどのスケールではありません。職位という事務的な呼び方をしているから、たかだか130人の会社なのに「和」が生まれないのです。
特に今年は、不況を克服する、また不況に耐えていく年です。こうした時代には、一家団欒と同じように、管理職の細心の気遣いより生まれるタキゲン一家の団結が必要です。
(1978年2月号 経営会議議事録 より)